映画評『刑事ジョン・ブック/目撃者』殺人現場を目撃してしまったアーミッシュの少年とその母親を守ろうとする刑事の交流と格闘を描くサスペンス

カチンコ 映画評
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『刑事ジョン・ブック/目撃者』
1985年アメリカ
現代:Witness
監督:ピーター・ウィアー
脚本:ウィリアム・ケリー
   アール・W・ウォレス
音楽:モーリス・ジャール
出演:ハリソン・フォード
   ケリー・マクギリス
   ルーカス・ハース
   

『刑事ジョン・ブック/目撃者』イントロダクション

アーミッシュの村で葬儀がしめやかに執り行われていた。

レイチェル・ラップ(ケリー・マクギリス)の夫の葬儀だった。

葬儀が終わり、レイチェルは息子のサミュエル(ルーカス・ハース)をつれて、このペンシルベニア州ランカスター郡のアーミッシュの村から出て、親族のいるボルチモアへ行くための列車で移動していた。

乗り換えの駅での出来事だった。

サミュエルがトイレに入っていたところ、二人組の男が一人の白人男性を拘束、首を掻き切り殺したのだ。

その一部始終を目撃したサミュエルは、すんでのところで犯人のひとりの黒人男性に見つかりそうになるが、とっさの機転で難を逃れる。

殺人事件を通報したレイチェル親子は、事件を担当する刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)によって半ば強引に警察署へ連れていかれ、サミュエルは容疑者への面通しをさせられるが、犯人の顔は見当たらなかった。

だが、署内に掲示されていた新聞の切り抜き記事を見たサミュエルが、ジョンに無言で訴える。

それは麻薬課のマクフィー刑事(ダニー・グローヴァ―)が表彰されたときの記事だったが、サミュエルがトイレで見た犯人の顔はまさにこのマクフィーだったのだ。

ジョンはマクフィーが指揮した麻薬捜査で大量のフェニルアセトンが紛失していたことを突き止め、マクフィーが何らかの口止めのために駅のトイレで男を殺したのだと推測、すぐさま上司のシェイファー本部長(ジョセフ・ソマー)に相談する。

シェイファーはFBIや関連部署にすぐ報告し、対応するといったが、ジョンはその日のうちに駐車場で襲撃を受け、腹部を負傷してしまう。

相手はあのマクフィー刑事だった。

マクフィーが容疑者であるということは、シェイファー本部長以外には話していない、ということは、シェイファーも本件にからんでいると看破したジョンは、レイチェルとサミュレルの身も危ういと判断し、二人を連れてアーミッシュの村に入る。

だが、ジョンが受けた傷は深く、気を失ってしまう。

それを親身に看病したのはレイチェルだった・・・。

殺人現場を目撃してしまったアーミッシュの少年とその母親を守ろうとする刑事の交流と格闘を描くサスペンス『刑事ジョン・ブック/目撃者』

タイトル(目撃者)のとおり、殺人現場を目撃してしまった少年と、その母親を陰謀から守ろうとする刑事ジョン・ブックが、隠れた先のアーミッシュの村で異文化と交流する物語であり、犯罪から母子を守ろうと格闘するサスペンスでもある。

アーミッシュとはキリスト教の一流派で、非暴力で、近代的な文明を拒み古い時代の生活様式を営む宗教集団で、アメリカのいくつかの場所で集落を作って生活している。

彼らアーミッシュの村は観光名所にもなっていたりする。

この映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』は、麻薬がらみの警察の汚職事件を一つの軸としながら、もう一つの軸として、主人公ジョン・ブックのアーミッシュとの文化的交流や恋愛模様を描いたヒューマン・ドラマでもある。

第28回ブルーリボン賞で外国作品賞に、第58回アカデミー賞では脚本賞、編集賞を受賞している。

まだ若くギラギラしたハリソン・フォードの名演も見どころの一つだ。

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