『ワイルド・ワイルド・ウエスト』
1999年アメリカ
原題:Wild Wild West
監督:バリー・ソネンフェルド
主演:ウィル・スミス
ケヴィン・クライン
『ワイルド・ワイルド・ウエスト』イントロダクション
1869年、南北戦争終結直後のアメリカ合衆国。
陸軍大尉で早撃ちが特技のジム・ウエスト(ウィル・スミス)は、戦争中にニューリバティで大量虐殺をおこなった南軍のマグラス将軍の行方を追っていた。
いっぽう、変装の名人で発明家のアーティマス・ゴードン(ケヴィン・クライン)もまた、連邦捜査官として、科学者連続誘拐の罪でマグラスの行方を捜していた。
時の大統領グラントから呼び出されたジムとゴードンは、マグラスが大統領に脅迫状を送り付けたことを知らされる。
その内容は、「合衆国政府を引き渡せ」というものだった。
グラント大統領は、ジムとゴードンにコンビを組んでマグラスを逮捕するよう命じる。
二人は、マグラスに殺された科学者の死体から、マグラスがニューオーリンズで催される舞踏会に現れるという手がかりを得て、現地へと向かう。
ニューオーリンズの舞踏会に潜入するジムとゴードン。
会場では、南軍の兵器開発を行っていたラブレス博士(ケネス・ブラナー)とマグラスが密会していた。
マグラスの裏ではラブレス博士が暗躍していたのだ。
ラブレス博士は新しい兵器をマグラスに引き渡すと称して、新しく開発した戦車の実験台に、用済みになったマグラスとその一党を皆殺しにする。
舞踏会で大騒ぎを起こしたジムとゴードンは、途中ラブレス博士につかまっていたリタという女性を助け出す。
リタは、ラブレス博士に誘拐された父親のエスコバー博士を救出してほしいと二人に頼み、三人はラブレスを追うのたっだ・・・。
映画界の最低賞5冠制覇の実力派B級映画
『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は、1960年代のテレビドラマ・シリーズ『0088/ワイルド・ウエスト』のリメイク作だ。
シークレットサービスのジムとゴードンが毎回さまざまな敵から合衆国を守るために戦う西部劇で、SFやアクションの要素が盛り込まれて人気を博した。
今作『ワイルド・ワイルド・ウエスト』はそのパワーアップ映画版である。
主演がウィル・スミス、敵の珍妙な博士役にケネス・ブラナーと豪華な役者陣。
特殊メイクはリック・ベイカーと言って、マイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ『スリラー』の特殊メイクを手掛けたりする凄腕アーティスト。
監督のバリー・ソネンフェルドは『アダムスファミリー』で監督デビューし、『メン・イン・ブラック』シリーズでも歴代監督を務めた実力の持ち主。
これは間違いないだろうと思わせる陣ぶれである。
が、開けてびっくり、なんと歯牙にもかからないB級映画が出来上がった。
ストーリーはありきたり、ギャグも大笑いを誘うレベルのものは無く。
CGのレベルも悪くない。巨大グモのガジェットなど質感がよく出ている。
スタッフも前述のとおり悪くない。
だが、出来上がりを見てみると、なんとも出来上がりがいろいろ「惜しい」のである。
もう一つ突き抜ければ傑作になったかもしれない微妙さなのだ。
これは当のアメリカ人視聴者も総じて同意見だったようだ。
アメリカでB級映画を対象にしたゴールデンラズベリー賞というのがある。
アカデミー賞の前夜に、「最低」の映画に賞を与えるというなんとも不名誉な賞なのだが、このゴールデンラズベリー賞に『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は、なんと5部門受賞している。
最低作品賞、最低監督賞、最低スクリーンカップル賞、最低脚本賞、最低主題歌賞だ。
ノミネートだけだと、最低主演男優賞、最低助演男優賞、最低助演女優賞で惜しくも(?)受賞は逃した。
折り紙付きの「最低」映画なのである。
これはもう、そういうものだと思って、おおらかな心で観るしかない。
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