映画評『めまい』巨匠ヒッチコックの最高傑作ともされるサスペンス・ミステリー!

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『めまい』
1958年アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ボロワー=ナルスジャック『死者の中から』
脚本:アレック・コペル
   サミュエル・テイラー
音楽:バーナード・ハーマン
出演:ジェームズ・ステュアート
   キム・ノヴァク

『めまい』イントロダクション

夜間、街並みの屋上を駆ける人影が三つある。

先頭は犯人、そのあとに制服の警官、次いでジョン・ファーガソン刑事(ジェームズ・ステュアート)だ。

屋根から屋根に飛び移り逃亡する犯人を追いかけるうち、ジョンは足が滑り、屋根から落ちそうになってしまう。

雨どいにかろうじてしがみつくジョンを、制服警官が助けようとする。

が、制服警官は滑落、死亡してしまう。

この事件がもとで、ジョンは高所恐怖症になり、刑事も辞めてしまった。

しばらく働かずぶらぶらしているジョンだったが、そこに学生時代の友人エルスター(トム・ヘルモア)が現れる。

エルスターはジョンに、妻マデリン(キム・ノヴァク)を尾行調査してほしいと頼む。

マデリンが何かに憑りつかれたように不審な行動をしているというのだ。

ジョンはいぶかしく思いながらも依頼を受ける。

ジョンがマデリンを尾行していると、マデリンは花束を買い、墓地へ向かい、ある墓石に祈りをささげた。

マデリンに気づかれぬように墓碑を確認すると、刻まれていた文字は以下の通りであった。

「カルロッタ・バルデス 1831年12月3日生 1857年3月5日没」

次にマデリンが向かった先は美術館だった。

そこでマデリンはある肖像画をしばらく見つめていた。

それはカルロッタ・バルデスの肖像画であった。

しかも肖像画のカルロッタは、髪型から首飾り、花束までマデリンにそっくりだった。

マデリンは次にマキトリックホテルというホテルに向かう。

後を追うジョンは、角の部屋の窓からマデリンの姿を見る。

ホテルの管理人に頼んで角の部屋を見せてもらうジョンだったが、そこには誰もいなかった。

マデリンはそこでジョンの前から姿を消してしまう。

ジョンはエルスターに話を聞くが、エルスターによるとマデリンはカルロッタの亡霊に憑りつかれているというのだった・・・。

巨匠ヒッチコックの最高傑作ともされるサスペンス・ミステリー『めまい』

巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の最高作ともされるサスペンス・ミステリー。

過去に囚われた美女をめぐる謎めいたロマンスと犯罪を鮮やかな色彩で描く傑作中の傑作。

美術面でも評価の高い作品で、冒頭のタイトル映像は現在のCGアートのようにも見える。

これを担当したのが「CGの父」と呼ばれるジョン・ホイットニー・シニアと呼ばれる実験映像作家で、初期のモーション・コントロール・カメラを使って幾何学的な不思議な映像を作り上げている。

また主人公のジョンがマデリンを車で曲がりくねった道を尾行するシーンもカメラワークをはじめ、被写体に焦点を当てたまま背景の画像を動かすことで独特の効果を出すことに成功している。

いわゆる「めまいショット」と呼ばれる上から覗き込んだ床が落ちていくようなショットは有名で、これ以後数々の映画やテレビドラマ、CMで引用されている。

さまざまな工夫が凝らされた演出は、もちろん作劇の効果を上げるためのものであり、ヒッチコックの評価を高めるものであるが、ヒッチコック自身はこの作品を「失敗作」としている。

ヒロイン役のキム・ノヴァクが気に入らなかったためのようである。

ヒッチコックのキム・ノヴァクへの風当たりは強く、いじめにも近いものがあったようだが、逆にそれが『めまい』のヒロイン像につながり彼女の魅力を高める結果になった。

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