映画評『トレイン・ミッション』たっぷりのサスペンス、たっぷりのアクションだがオチがもったいないB級映画!

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『トレイン・ミッション』
2018年アメリカ・イギリス・フランス
監督:ジャウム・コレット=セラ
脚本:バイロン・ウィリンガー
   フィリップ・デ・ブラシ
   ライアン・イングル
音楽:ロケ・バニョス
主演:リーアム・ニーソン

『トレイン・ミッション』イントロダクション

元警官のマイケル・マーコリー(リーアム・ニーソン)は、保険のセールスマンとしてもう10年近くキャリアを積んでいた。

仕事場へ通うのはメトロノース鉄道ハドソン線の通勤電車。

顔を合わせるだけや、電車の中だけで言葉を交わす知り合いもいる。

ある日、職場である保険会社から、突然の解雇を言い渡されるマイケル。

絶望のうちにいつもの通勤電車に乗り込んだ彼の前に、ジョアンナという女性が現れ、なぞかけを残していった。

それは、この電車が終着駅コールドスプリングにつくまえに、乗客の中からたった一人の人物=通称「プリン」を探し出すこと。

報酬は10万ドル。

生返事のマイケルだったが、「前の車両のトイレに手付金がある」というジョアンナの言葉を確かめると、果たしてそ子には前金の2万5千ドルが入った紙袋が。

10年通勤で乗りなれた電車とはいえ、膨大な数の乗客の中からたった一人の人間を見つけ出すのは無理だ。

あきらめようとするマイケルに、ジョアンナから携帯で電話がかかってくる。

「そこから見える交差点を見ろ」と。

停車中の電車から見える人ごみの多い交差点をみると、なんと、電車の中だけでの知り合いである男性が突き飛ばされ、バスに轢かれた。

ジョアンナは言う。

すでにマイケルはゲームを始めてしまった、と。

そしてこのゲームから降りようとすれば、マイケルの家族の命もないと脅す。

ふたたび電車はコールドスプリングに向けて走り始めた・・・。

たっぷりのサスペンス、だっぷりのアクション、欲張りな映画『トレイン・ミッション』(ちょいネタバレ有)

この『トレイン・ミッション』、2時間の尺に、込められるだけのサスペンスとアクション、人間ドラマを詰め込んだ欲張りな作品になっている。

それだけに目が離せないのだが、詰め込みすぎの印象もないではない。

監督はスペイン出身のジャウム・コレット=セラ。

リーアム・ニーソンとは『アンノウン』(2011年)『フライト・ゲーム』(2014年)『ラン・オールナイト』(2015年)に続き、4作目のタッグとなる。

サスペンス、ホラーの得意な監督なだけに、今回の『トレイン・ミッション』もなかなかのサスペンスものに仕上がっている。

主人公は電車という密室の中で、家族の命を守るために、わずかな手掛かりの中からたった一人の見たこともあったこともない人物を探し出さなければならない。

他人への相談はできない。

警察へなど言わずもがな。

逆らえば誰かが死ぬ。

マイケルはジョアンナの謎かけと10万ドルという報酬に、ついふらふらとゲームに乗ってしまうのだが、無茶なゲームのルールに耐えかねて、ちょいちょいルール違反を犯してしまう。

そのたびに誰か死んでしまう。

どこから見ているのか不思議なくらい監視されているのだ。

ツッコミどころである。

ジョアンナ、もしくは彼女の所属する組織は、そんな行き届いた監視の目や、状況をコントロールする力があるのなら、なぜプリンを自分で捕えることができないのかな~と。

ラストまで謎かけの風呂敷は広がり続ける。

視聴者を引き付ける手段としては見事なのだが、オチですべてが片付かないのがおしい。

サスペンス以外では、電車内でのバトルシーンに加え、高速で走る列車のブレーキが壊れるなどお約束のものもあれば、電車が大クラッシュするなど、アクションシーンは見ごたえ十分だ。

ストーリーが進み、マイケルがだんだん「プリン」候補を絞るにしたがって、人間ドラマも濃くなっていく。

「プリン」候補たちの人となりと、なぜこの電車に乗っているのかの動機がちゃんと描かれている。

2時間という尺にサスペンス、アクション、人間ドラマ、盛り込みすぎなのがもったいない。

前述のツッコミどころがもう少し解決できれば、傑作サスペンス・アクション映画になったのだが。

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