『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』
1997年イギリス・アメリカ
原題:Tomorrow Never Dies
監督:ロジャー・スポティスウッド
脚本:ブルース・フィアスティン
音楽:デヴィッド・アーノルド
出演:ピアーズ・ブロスナン
ジョナサン・プライス
ミシェール・ヨー
『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』イントロダクション
ロシア国境、テロリストの武器取引バザールを、イギリス諜報部MI6はロシア当局と合同で秘密裏に調査していた。
調査にあたっていたのはコードネーム「ホワイトナイト」・・・007ことジェームズ・ボンド(ピアーズ・ブロスナン)だ。
ボンドが送信してくる映像から、日本人テロリストや、アメリカ人テロリストのヘンリー・グプタ(リッキー・ジェイ)ら危険人物が集まっていることが確認される。
MI6の報告はもう十分だ、と軍のローバック提督(ジョフレー・パーマー)はロシア軍士官に合意を取り、早急にミサイルでの現場壊滅をイギリス海軍艦艇に指示、巡航ミサイルが発射される。
ところが、直後にバザールには戦闘機に搭載されて各魚雷があることが判明する。
このままでは現場のボンドが犠牲になるどころか、チェルノブイリ級の核汚染が起きてしまう。
慌ててローバック提督はミサイルの自爆を命じるが、ミサイルは母艦から距離が離れすぎ、すでに制御通信は届かぬ距離にまで飛来。
ミサイル着弾まであと4分しかない。
ボンドにはむなしい退避命令が出される。
が、ボンドは命令を無視、バザールに乗り込み、現場を混乱させると、各魚雷を搭載した戦闘機を奪取して飛び立った。
ボンドが乗った戦闘機を追撃するもう一機の戦闘機があったものの、これを退けたボンドは「こちらホワイトナイト。各魚雷はどこに運べばいい?」と通信して大海原へ機首を向けた。
チェルノブイリ級の大惨事は免れたが、この騒ぎのなか、テロリストのグプタも、あるものを手中に収め、脱出に成功していた・・・。
ピアーズ・ブロスナンが演じるボンドの第2弾にしてシリーズ通算第18作!『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』
当時最新のボンドカーや高機能携帯電話など、ハイテク機器が満載の秘密兵器が登場する007シリーズ通算18作目。
ピアーズ・ブロスナンが演じるジェームズ・ボンドとしては2本目になる。
今回の敵はテレビ、新聞、ネットメディアを牛耳るメディア王エリオット・カーヴァ―(ジョナサン・プライス)。
カーヴァ―はテロリストとも通じ、なんとその財力で自ら兵器も調達、ステルス艦まで所持している。
カーヴァ―の目的は、ショッキングな事件を捏造し、自分のメディアで流すことにより、衆目を独占すること。
この捏造が映画的というかやりすぎ(笑)で、南シナ海の公海上を航海していたイギリスのフリゲート艦の位置情報を、GPSの情報を狂わせるということで中国から領海侵犯で撃沈させ、あまつさえ脱出した船員たちを中国製の銃で皆殺しにし、これをトップ・ニュースでいち早く報道する。
さらにカーヴァ―のたくらみはエスカレート、この事件をきっかけとし、英米と中国との戦争にまでことを発展させようとする。
そしてその報道も、やはり自社ですっぱ抜こうというわけだ。
イギリス海軍は中国への艦隊の派遣を命じようとするも、カーヴァ―主幹の英新聞紙「トゥモロー」の情報が速すぎること、GPSの不審な電波が発信されていることをつかんだMI6が調査を申し出る。
だが、与えられた時間は48時間。
この48時間でボンドがカーヴァ―の陰謀を追うわけだ。
20世紀も終わろうとするこの時期の作品だが、やはり時勢を反映していて、中華人民共和国の台頭がうかがえる。
今回のボンド・ガールも中国系マレーシア人ミシェル・ヨーが中国の情報部員役として務めている。
ミシェル・ヨーはこの『トゥモロー・ネバー・ダイ』がハリウッドデビュー作だ。
情報化社会の到来とその独占の危険性を若干先取りした一作。
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