映画評『サンダーボルト』

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(最終更新日:2020年2月6日)

『サンダーボルト』
1974年アメリカ
監督:マイケル・チミノ
主演:クリント・イーストウッド
   ジェフ・ブリッジス

おかしいなあ、「クリント・イーストウッドが主演か監督の映画はたいてい面白い」てのが持論だったのに、なんか今回は微妙なの見てしまったぞ・・・(笑)

原題は”Thunderbolt and Lightfoot”とあるように、サンダーボルト(クリント・イーストウッド)とライトフッド(ジェフ・ブリッジス)の二人が主人公。
サンダーボルトは元銀行強盗。過去を隠して牧師をやっているところに、かつての仲間に追われ、その途中で義足の風来坊ライトフッドと同行することになるコミカル・アクション・ロードムービー。

マイケル・チミノといえば『ディアハンター』(1978)の監督だが、チミノは『サンダーボルト』が監督デビュー作で、1973年の『ダーティハリー2』での脚本が認められての起用らしい。

さて作品であるが。何とも感想や解説に困る。

まず、主人公のサンダーボルトが過去、20ミリ機関砲で金庫をぶち破るという銀行強盗で50万ドルを仲間たちと強奪、しかしその金を一人で持ち逃げしたと誤解され、かつての仲間から追われている・・・という凝った設定が前提にある。その金を巡っての騒動が本作品の話の筋となる。それは各登場人物の動機なので必要なのだけど、劇中、アクションのあいまあいまにセリフで説明しちゃうので、単純に何かのど元に小骨が刺さったままストーリーが展開する印象。

冒頭、牧師のサンダーボルトが急に教会に乗り込んできた男に銃撃されるのがオープニングで、映画のつかみとしてはオッケー。なのだが、前述のとおり過去の設定をセリフで済ませてしまうので、クールダウンしちゃうのだ。

サンダーボルトとライトフッドが一緒に旅をし、二人を追うかつてのサンダーボルトの銀行強盗仲間のやり取りや、それがまた一緒になって新たな強盗の段取りにかかるあたりはコミカルさが出てて良い。

このへんになってようやく乗ってこれる。

しかしラストにライトフッドの身に起こることは「あれ?なんで?」と唐突感というか、違和感を感じる。
これで感動しろというのか。

だが。

もう一回見てみると、この作品をアクションものとして見ていた視点が間違っていたことに気付いた。

随所に映し出される美しいアメリカ中西部の景色。

旅する男二人の友情。

時折流れるカントリーポップス。

切ないラスト。

そうか、これは『イージーライダー』(1969)の流れ、アメリカン・ニューシネマの系譜だったのだ!

『ダーティーハリー』のイメージではない、新しい自分を求めてイーストウッドもこの作品にチャレンジしたに違いない。

マイケル・チミノの監督起用もその辺に意図があったのだろう。

そういや脇役陣も手堅いし。

この映画をアクションものだとしてる映画評があったら、「あ、こいつ本編見てないな」と笑いましょう。

やはりイーストウッド映画にハズレはなかった(?)

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