映画評『ゼイリブ』格差社会の到来を予知したかのような資本主義への風刺作品!エイリアンによる姿なき侵略を描く、カルト的人気を誇るSFサスペンススリラー!

カチンコ 映画評
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『ゼイリブ』
1988年アメリカ
原題:They Live
監督:ジョン・カーペンター
脚本:ジョン・カーペンター(フランク・アーミテイジ名義)
原作:レイ・ネルソン『朝の八時』
音楽:ジョン・カーペンター
   アラン・ハワース
出演:ロディ・パイパー
   キース・デイヴィッド
   メグ・フォスター
   ジョージ・バック・フラワー
   ピーター・ジェイソン
   レイモン・サン・ジャック
   ジョン・ローレンス
   ノーマン・オールデン
   ジェイソン・ロバーズ・Jr
   スーザン・ブランチャード
   ジョン・F・ゴフ
   ノーマン・ハウエル
   サイ・リチャードソン

『ゼイリブ』イントロダクション

世の中は激しい貧富の格差が進み、失業者は増える一方だった。

しがない肉体労働者で宿無しのナダ(ロディ・パイパー)はロサンゼルスに流れ着く。

職業安定所に行くが、「あなたに合う仕事はありません」と追い返されてしまう。

ゆきすがらナダは、路傍で盲目の牧師が演説しているのを聞き、テレビではタレントがインタビューを受けているのを見る。

どちらも神のすばらしさを滔々と説いていた。

ナダは仕事を求めて工事現場に入っていく。

現場監督に何とか仕事がないか頼んでみると、マネージャーに紹介してくれるという。

そうしてナダはそこで働けることになった。

「あてがないなら、食い物とシャワーのあるところに案内するぜ」

そういわれてナダは黒人男性フランク(キース・デイヴィッド)に誘われる。

フランクはナダを高層ビルが立ち並ぶ街の向かいにある貧民街に連れて行った。

そこは「自由教会」が所有する空き地で、多くの家の無い貧民たちがキャンプを張っていた。

ナダはそこに居を構えることにした。

そこではたった1台のテレビだけが娯楽だった。

しかしそのテレビは、たびたび起こる電波ジャックに悩まされていた。

電波ジャックでテレビ画面に現れるひげを蓄えた男はきまってこういうのだった。

「我々の暮らしている世界は、『彼ら』の発進する信号により、人工的な仮眠状態にさせられている。彼らは抑圧的な社会を作り上げている。彼らの目的は人々を物質主義者に仕立て上げ、自分たちの正体を詮索させないため、我々を欲に狂わせて『奴隷』にしている・・・」

ナダはキャンプ地のそばにある教会で讃美歌の歌唱が始まり、キャンプの住人のひとりギルバート(ピーター・ジェイソン)がそそくさと教会に入っていくのを見た。

電波ジャックが起きるのは決まってそんな時だったことに気付いたナダは、裏口の倉庫から教会に忍び込む。

教会の中をのぞき込むと、讃美歌は肉声ではなく録音テープによるものであり、教会堂からは讃美歌の大音量にまぎれてお琴たちが話し合う声が聞こえた。

壁には大きく「THEY LIVE  WE SLEEP」と書かれている・・・。


格差社会の到来を予知したかのような資本主義への風刺作品!エイリアンによる姿なき侵略を描く、カルト的人気を誇るSFサスペンススリラー!『ゼイリブ』

鬼才ジョン・カーペンター監督による、レイ・ネルソンの小説『朝の八時』を原案に、資本主義による格差社会の到来を予見、風刺した作品。

いつのまにか富裕層になり替わったエイリアンによる侵略を描いたSFホラー作品でもある。

エイリアンの正体を見破るギミックのサングラスなのであるが、後世の色々な作品でパロディされていたりもする。

主人公のナダを演じるのはカナダ出身の俳優でもあり、プロレスラーでもあるロディ・パイパー。

そんなロディの経歴を活用してか、キース・デイヴィッドとの約6分間に及んで繰り広げられる、バックドロップなどのプロレス技を応酬する喧嘩シーンがある。

キース・デイヴィッドは『遊星からの物体X』(1982年)が俳優デビューで、この作品の監督はといえば、ご存知ジョン・カーペンターだ。

この作品でジョン・カーペンター監督は、1980年代にかつてないほどに増大した通俗的な資本主義に対しての嫌悪感を表現している。


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