『ハリーの災難』
1955年アメリカ
原題:The Trouble with Harry
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ジャック・トレヴァー・ストーリー
脚本:ジョン・マイルズ・ヘイズ
音楽:バーナード・ハーマン
出演:エドマンド・グウェン
ミルドレッド・ナトウィック
ジョン・フォーサイス
シャーリー・マクレーン
『ハリーの災難』イントロダクション
美しく紅葉がもえさかる季節を迎えたバーモント州のある小さな村にて。
機関銃のおもちゃを抱えて、4歳の男の子アーニー・ロジャース(ジェリー・マシューズ)は林ののそばで一人遊びをしていた。
と、そこに一発の銃声が響き渡る。
アーニーは銃の音がした方へ向かうと、果たしてそこで頭から血を流して倒れている男の死体を見つける。
だがアーニーは死体には驚くことなく、家に帰ってしまう。
次に死体を見つけたのは、元船長という経歴の持ち主のアルバート・ワイルス(エドマンド・グウェン)という中年の男だった。
アルバートは猟銃を構えてウサギを撃ちに来ており(そこは禁猟区の看板が出ている場所ではあったが、アルバートは気にしなかった)、死体を見つけたとき、アルバートは自分が撃った弾がこの男を殺してしまったものと思い込んだ。
死体を隠そうと、死体の両足を持った時、今度はそこにミス・グレヴリー(ミルドレッド・ナトウィック)という中年女性が現れる。
ミス・グレヴリーもまた、死体に対して過度な反応を示すことなく、アルバートをお茶にまで誘った。
ミス・グレヴリーが去ると、今度はアーニー少年が母親を連れて現れた。
アルバートは茂みに隠れるて様子をうかがう。
アーニーの母親ジェニファー(シャーリー・マクレーン)は、死体に「そんなバカな・・・ハリー!」と呼びかける。
「ハリー、こんな姿になって・・・」
「ママ、この人なぜ起きないの?」
「眠ってるの。ぐっすり眠ってる」
「頭のけがは?」
「何かで殴られたのね」
そこでアルバートは、ハリーを殺したのは自分じゃない可能性に気が付く。
「治らないの?」というアーニーにジェニファーは「そう願うわ」と家に帰ってしまった。
やれやれ、と茂みから出ようとしたアルバートだったが、今度は読書に夢中な老紳士が歩いてくる。
老紳士はハリーにつまづいて倒れるが、これまた気にせず立ち去ってしまう。
次に現れるのは青年画家のサム・マロー(ジョン・フォーサイス)だった。
サムはハリーの死体にインスピレーションを得て、ハリーの死に顔をスケッチし始める・・・。
ヒッチコック監督のスリラー・コメディ『ハリーの災難』
林の中で見つかった死体“ハリー”を巡って起こる小さな村の騒動をアルフレッド・ヒッチコック監督が独自のセンスで描くスリラー・コメディ。
のちの名女優シャーリー・マクレーンのスクリーン・デビュー作でもある。
また音楽のバーナード・ハーマンはこの作品で初めてヒッチコックと手を組み、『引き裂かれたカーテン』(1966年)で袂を分かつまで、ヒッチコック映画の常連作曲家であり続けた。
この『ハリーの災難』、いわゆるブラック・ユーモアを解さなければ何がおもしろいのかさっぱりで、イギリス出身のヒッチコックにしてみればお得意の演出だろう。
やってる当人たちからしてみれば大真面目だけど、傍から見るとおかしみを感じる。
アルバートをはじめ村人たちは、「自分がハリーを殺してしまったのではないか」と怯えながら、ハリーの死体を隠そうと埋めたり、保身のために掘り返したりを繰り返し、ついには保安官補までが動き出す。
事態は意外な方向で落着(?)するのだがそれは観てのお楽しみ。
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