映画評『シックス・センス』「オチはだれにも言わないでください」

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『シックス・センス』
1999年アメリカ
原題:The Sixth Sense
監督・脚本:M・ナイト・シャラマン
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ブルース・ウィリス
   ハーレイ・ジョエル・オスメント
   オリヴィア・ウィリアムズ

『シックス・センス』イントロダクション

マルコム・クロウ(ブルース・ウィリス)は小児科専門の精神科医である。

仕事は順調で、妻のアンナ(オリヴィア・ウィリアムズ)との仲も良い。

ある晩の出来事。

マルコムの自宅に、窓から侵入者があらわれる。

下着一枚の青年はマルコムに、「自分を救ってくれなかった」と悲痛に叫ぶ。

マルコムは記憶をたどり、青年がビンセント・グレイ(ドニー・ウォルバーグ)という、かつて自分が診療したことのある少年だったことを思い出す。

ビンセントはマルコムに銃を向け、発砲すると、自殺した。

マルコムは撃たれた腹部の痛みを感じながら、治療したつもりでいたビンセントを、実は救えていなかったことを痛感する。

その事件から一年後。

マルコムはなぜか妻のアンナから無視されるようになっていた。

仕事にかまけて家庭を顧みなかったせいかと反省するも、アンナとの距離は縮まらない。

アンナは別の男とささやかな愛情をを育みつつあった。

いらだち、自信を失うマルコムは苦悩と悲しみに暮れる。

そんな折、マルコムは周囲に馴染めず、受け入れられない少年コール・シアー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)に出会う。

コールの姿にかつてのビンセントを重ねたマルコムは、カウンセリングを通じて、コールを救うことで、どん底に落ち込んでいる自分も救済できるかもしれないと考える。

なんとかコールに受け入れてもらおうと努力するマルコムだったが、コールの悩みの根源は、彼が幽霊が見えてしまうという第六感(シックス・センス)であり、このため母親ともすれ違い、学校の生徒や友人からも異端視されていることだった・・・。

「オチはだれにも言わないでください」『シックス・センス』

『シックス・センス』はブルース・ウィリスが精神科医を務め、霊が見える少年を救おうとするサイコ・スリラーだ。

映画の冒頭、「この映画にはある秘密があります。まだ映画を観ていない人には、決して話さないでください」とブルース・ウィリスからのおことわりがある。

なのでここでもオチには触れないが、そんな前置きで膨らむ期待を消して裏切ることのない衝撃的なラストは保障しよう。

監督のM・ナイト・シャラマンはこの『シックス・センス』が三本目の監督作品だが、この作品で大成功した。

シャラマン自身も脚本を務めたり、自ら作品に役者として出演するマルチな才能の持ち主で、『シックス・センス』にもヒルという医者の役割で登場している。

作品はアカデミー賞で惜しくも受賞はないものの、作品賞、監督賞、脚本賞、助演男優賞、助演女優賞にノミネートされている。

霊が見える少年コール役のハーレイ・ジョエル・オスメントの演技が素晴らしく、天才子役として評価された。

彼だけに見えるおぞましい霊の数々に怯え、時には憑依されたかのような言動を見せるコール少年の演技は、並大抵のものではないことは見ていただければわかるだろう。

また精神科医のマルコム役のブルース・ウィリスも、たとえば『ダイ・ハード』シリーズでみせるようなタフな男ではなく、繊細で、自らも弱さを抱える役柄を見事に演じている。

物語はマルコムとコール少年の二人の視線の交叉から描かれる。

マルコムはコールを救おうとするが、それは入れ子構造のように、マルコム自身の救済にもつながっている(とマルコムは希望する)。

コールは自分のシックス・センスを大人は理解してもらえなかった今までの経験から、マルコムにも期待はしないが、次第に心を開くようになる。

ふたりの心の動きが、やがて物語の解決につながっていく脚本も見事だ。

この映画のだいご味は、本当にラストにあるので、知らない人にはまず、作品を見てもらって、それから、知ってる者同士でじっくり映画の解釈を語り合ってもらいたい。

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