映画評『ザ・センチネル 陰謀の星条旗』シリアスなはずだが設定はツッコミ満載!?

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『ザ・センチネル 陰謀の星条旗』
2006年アメリカ
監督:クラーク・ジョンソン
主演:マイケル・ダグラス
原作:ジェラルド・ペティヴィッチ『謀殺の星条旗』

アメリカ大統領を警護するシークレットサービス(SS)。

かつてレーガン大統領を凶弾から身を呈して守ったという輝かしい経歴のベテランSS、ピート(マイケル・ダグラス)。

ピートは誰からも英雄として尊敬され、組織内でのコミュニケーションも上々。

しかしある時、大統領暗殺の予告から、組織内に亀裂が走る。

内部情報のリークが疑われ、メンバーの全員がウソ発見器にかけられる。

そしてピートだけがクロの反応が出てしまったため、身柄を抑えられることになる。

ウソ発見器に反応が出てしまったのは、ピートが抱えていた他の事情・・・いや情事が原因だった。

なんとピートは大統領夫人と不倫関係を結んでいたのだった。

(大統領暗殺に関しては)身の潔白を訴えるピートだが、誰にも信じてもらえない。

ピートの拘束を強硬に指示するのは、ピートの古くからの仕事仲間の捜査官デヴィッド(キーファー・サザーランド)。

だがデヴィッドも今はピートと絶縁状態。

なぜかといえば、デヴィッドはかつて妻をピートに寝取られたからだった。

腕利きSSのピートだが、女性関係だけはだらしなく、そのせいでピンチに陥る。

大統領暗殺とそれを防ごうとするSSの活躍、その中で窮地に陥る主人公ピートというプロットはシリアスなのに、主人公がピンチに陥る原因が自業自得という、それには何とも苦笑するしかない。

原作のジェラルド・ペティヴィッチは、みずからが元財務省秘密検察局(シークレット・サービス)のエージェントとして、ヨーロッパや中東で勤務した経歴を持つ。

そういった経歴がこの作品でも生かされているのだろうか、大統領の警備体制や、捜査官たちの活動などは生々しい。

それには当然、主役兼製作を務めたマイケル・ダグラスの気の入れようが大きかったこともあるだろう。

マイケル・ダグラスはこの作品の原作『謀殺の星条旗』が出版される前から、映画化の権利を獲得していたという。

主人公ピートの脱出行、逃亡中も真犯人を追う手腕など、その当時最先端のテクニックがスクリーンで再現されているのは見どころだ。

映画公開が2006年なので、まだiPhoneをはじめとする全画面タイプのスマートフォンは出回っていなかった(iPhone3Gの発売は2008年7月)。

主人公が使う携帯電話が物理キーボード付きのPDAなのは歴史を感じさせる。

ピートとデヴィッドの確執も良いドラマになっている。

中盤はこの確執が二人の動機になって物語を引っ張っている。

そしてこの二人の関係は後半に昇華していく。

このあたりは原作や脚本(ジョージ・ノルフィ)が良い仕事をしたのだろう。

監督のクラーク・ジョンソンは1993年から1999年までテレビシリーズ『ホミサイド/殺人捜査課』で刑事役としてレギュラー出演している。

また2003年には『S.W.A.T』の監督を務めるなど、いわゆる刑事ものや特殊部隊ものには造詣が深いことも、この『ザ・センチネル』では腕の振るいどころだったろう。

大統領を警護するという、その重要性から常にアップデートを要求されてきたシークレットサービスの内情を描いたこの映画の監督には、クラーク・ジョンソンのキャリアは十分である。

製作された2006年当時は最先端だった警備態勢が、現在どう変化を遂げているかはわからない。

しかしアメリカ大統領という強大な権力とそれを守る集団の存在はいまだに健在である。

同じプロット、ストーリーでリメイクしても面白いかもしれない。

しかし大統領夫人との不倫は・・・ゴシップ好きの視聴者にはいまだにウケるかも?

 

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