映画評『聖衣』キリストの処刑を命じられたローマの将校マーセラスの物語を壮大なスケールで映画化した傑作スペクタクル史劇

映写機 映画評
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『聖衣』
1953年アメリカ
原題:The Robe
監督:ヘンリー・コスタ―
脚本:フィリップ・デューン
   アルバート・マルツ
   ジナ・カウス
音楽:アルフレッド・ニューマン
出演:リチャード・バートン
   ジーン・シモンズ
   ヴィクター・マチュア
   マイケル・レニー
   ジェイ・ロビンソン
   リチャード・ブーン
   トリン・サッチャー
   ドーン・アダムズ
   フランク・プラスキー
   ジェフ・モロー
   ディーン・ジャガー
   アーネスト・セジガー

『聖衣』イントロダクション

巨大帝国ローマ。

ティベリウスの治世18年目。

ローマ軍団が守る領土は、北海の沿岸からバビロンの河にまで及ぶ。

史上最強の軍隊である。

ローマには30か国から貢物がとどく。

黄金、絹、象牙、乳香、奴隷になる若者たち。

奴隷の数は市民を超えるほどだ。

よその創造物を奪うだけの略奪者ともいわれる。

だがローマ人は神と女神を創った。

愛の女神、戦いの神、狩猟の神、酒の神などなど。

その真髄は大理石ではなくローマ人の血肉に宿る。

ローマの民は快楽のためにだけ生きられる。

それ以上何を望むだろうか。

人身を売買するこの時代、その日、奴隷市場には帝位継承者カリグラ(ジェイ・ロビンソン)が剣闘士を買いに訪れる。

同時に、その場には護民官で軍の将校、マーセラス・ガリオ(リチャード・バートン)も現れた。

マーセラスはカリグラに快く思われてはいない人物だった。

市場でマーセラスは、幼馴染で長らく会っていなかったダイアナ(ジーン・シモンズ)と再会する。

子供時代にマーセラスはダイアナに求婚し、ダイアナはそれを長年信じており、いまもマーセラスに恋をしていた。

美しく成長したダイアナにマーセラスも心を奪われる。

だが、ダイアナにはカリグラもまた横恋慕していた。

さて、奴隷売買の競りが始まり、マーセラスはカリグラと争い一人のギリシャ人奴隷ディメトリオス(ヴィクター・マチュア)を競り勝って手に入れる。

これがカリグラの怒りに火をつけた。

マーセラスはその日のうちにエルサレムへの左遷を命じられる。

自由の身にしてもらったディメトリオスも、このマーセラスに同行することを選ぶ。

エルサレムに着いたマーセラスの仕事は、最近「神の子」を自称し、新たな教えを広めて回っているイエスを捕まえ、磔にすることだったが・・・。

キリストの処刑を命じられたローマの将校マーセラスの物語を壮大なスケールで映画化した傑作スペクタクル史劇『聖衣』

キリストを処刑したローマの将校マーセラスが、キリストが直前まで身につけていたローブ「聖衣」を手にしたことから信仰に目覚め、ローマ帝国皇帝と対決する道を選ぶ、傑作スペクタクル史劇。

原作はロイド・C・ダグラス。

キリストの磔刑が描かれていることもあり、同様にハリウッドの歴史スペクタクル大作の看板タイトル『ベン・ハー』と併せて鑑賞してもらえると、当時のローマ(が1950年代のアメリカで)どのように理解されていたか、がわかりやすい。

この『聖衣』に登場するカリグラ帝や、悪名高きネロ帝など、帝政ローマ初期はキリスト教を激しく弾圧していたイメージだが、そのイメージを激しくプッシュしたのはこういったハリウッドの歴史物語でもある。

この『聖衣』は、当時見世物志向の強かった大型スクリーン映画の中にあって、珍しい本格劇映画だったこともあり、1953年の全米興行成績で1位を取る大ヒット。

また、同年のアカデミー賞で美術、衣装の2部門を受賞、第11回ゴールデングローブ賞作品賞も受賞している。

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