『THE PROMISE/君への誓い』
2016年アメリカ
原題:The Promise
監督:テリー・ジョージ
脚本:テリー・ジョージ
ロビン・スウィコード
音楽:ガブリエル・ヤレド
出演:オスカー・アイザック
シャルロット・ルボン
クリスチャン・ベール
ダニエル・ヒメネス・カチョ
ショーレ・アグダシュルー
『THE PROMISE/君への誓い』イントロダクション
第一次世界大戦前夜・・・かつて強大だったオスマン帝国は崩壊寸前だった。
帝国内のアッシリア人、ギリシャ人、アルメニア人は、運命をさまよった。
1914年、南アナトリアの山間にある小さな村、シルン。
トルコ人とアルメニア人が共存するその村で、ミカエル・ボゴシアン(オスカー・アイザック)は薬剤師として家族と生活していた。
ボゴシアンの家は先祖伝来の調合法で200年前から薬を作っていた。
宗教やお金の有無にかかわらず、皆平等に扱い、ミカエルは仕事に誇りを持っていた。
だが薬草や鉱物から薬を作るだけでなく、コンスタンティノープルで医療を学ぶのがミカエルの夢だった。
しかし貧しい家には学費が足りず、資産家の家の娘マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約、持参金を学費にあてようと考えた。
コンスタンティノープルに到着したミカエルは、父のつてで、成功して金持ちになっていたメスロブ(イガル・ノール)を訪ねる。
温かく迎えられるミカエルは、メスロブの屋敷でひとりの美女と出会う。
AP通信の記者クリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベール)の恋人アナ・ケサリアン(シャルロット・ルボン)は明るく魅力的な女性で、家庭教師として子供の面倒見もよく、初対面ながらミカエルはアナに惹かれる。
医学校では街の領事の息子エムレ・オーアン(マーワン・ケンザリ)とも親しくなった。
ミカエルたちが楽しく良好な学生生活を送る一方で、トルコはドイツと結び、世界情勢はきな臭くなる。
そして徴兵が始まった。
医学生であるにもかかわらずアルメニア人と言うだけで問答無用に徴兵されようとするミカエルを、父の威光をかりて一度はエムレに助けてもらったミカエルだったが、オスマン帝国内ではアルメニア人を強制移住、虐殺する事件があちこちで起こり始めていた。
コンスタンティノープルでもトルコ人がアルメニア人を襲うところに出くわす。
メスロブも反逆罪の容疑をかけられ、逮捕されてしまう。
アルメニア人の知識人や資産家は大量逮捕されていた。
叔父を助けようと領事に乗り込むミカエルも、こんどは捕まり、強制収容所に連行、ほかのアルメニア人たちとともに重労働を強いられる・・・。
20世紀初頭に起きたオスマン帝国によるアルメニア人虐殺を題材とした歴史大作!『THE PROMISE/君への誓い』
19世紀末から20世紀初頭にかけて、オスマン帝国で少数民族アルメニア人の大量虐殺事件が起きた。
ナチスドイツのユダヤ人大量虐殺に先駆けるこの事件では、150万人のアルメニア人が命を落とした。
この映画はひとりのアルメニア人青年ミカエルの視点から、この凄惨な出来事を追う。
もう一人事件を目撃するのは新聞記者のクリス・マイヤーズで、彼は世界中にこの真実を伝えることでオスマン帝国を非難、自らも危険に身をさらしてペンで戦う。
映画は一方的に迫害を受けるアルメニア人たちをリアルに描写する。
強制移住に駆り立てられる人々、ついてこられなくなったものを容赦なく撃ち殺すトルコ兵、川辺での虐殺・・・。
主人公ミカエルの家族も例外ではなかった。
この映画は生き残ったアルメニア人を代表しての、事件の告発だ。
オスマン帝国を引き継いだ現トルコは正式に事件の存在を認めていない。
国家のイデオロギーにのまれて、宗教や人種で人は容易に分かたれてしまう。
我々人類はこの愚かしい行為を乗り越えるすべを、まだ獲得できていない。
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