映画評『運び屋』麻薬の運び屋となった老人をユーモアを交えスリリングに描く、クリント・イーストウッドの傑作犯罪ドラマ!

ポップコーン 映画評
スポンサードリンク

『運び屋』
2018年アメリカ
原題:The Mule
監督:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
原案:サム・ドルニック『The Sinaloa Cartel’s 90-Year-Old Drug Mule』
音楽:アルトゥロ・サンドバル
出演:クリント・イーストウッド
   ブラッドリー・クーパー
   ローレンス・フィッシュバーン
   マイケル・ペーニャ
   ダイアン・ウィースト
   アンディ・ガルシア
   イグナシオ・セリッチオ
   タイッサ・ファーミガ
   アリソン・イーストウッド
   クリフトン・コリンズ・Jr

『運び屋』イントロダクション

2005年イリノイ州ピオリア。

名園芸家のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)はデイリリーの品評会で金賞を受賞、会場では華やかにふるまう名士だった。

が、いっぽうで娘のアイリス(アリソン・イーストウッド)の結婚式をすっぽかすなど、家族のことはまったくかえりみない男だった。

そのため妻からは愛想をつかされ、娘にはまったく口をきいてもらえない。

そんなアールも12年後の2017年には、園芸家として破産してしまっていた。

インターネット通販の普及におされて売り上げが全くなくなってしまったためだった。

デイリリーの温室は借金のカタに差し押さえられてしまった。

しかたなく家族のもとに向かったアール。

その日は孫のジニーの“結婚前のブランチ”パーティーだった。

相変わらずアイリスは口をきいてくれず、妻は「娘に続いて孫にも失望を味あわせる」と騒ぎ立てる。

仕方なく立ち去ろうとするアールに、パーティ会場から一人の男が声をかける。

その男は、アールが無事故無違反でほぼ全米をトラックで走り回ったことを知ると、「知人が慎重なドライバーを探してる。町から町へ走るだけで金になるいい仕事があるがら、気が向いたらここへ」

とメモを手渡しパーティに戻っていった。

経済的に行き詰っており、やってみるかとばかりにアールはメモの場所にトラックでかけつけると、不審な男たちにガレージのなかに誘われ、携帯電話と“ブツ”を渡された。

「中身は見るな」と注意される。

そうしてアールは“運び屋”として第一回目の仕事を請け負った・・・。

麻薬の運び屋となった老人をユーモアを交えスリリングに描く、クリント・イーストウッドの傑作犯罪ドラマ!『運び屋』

クリント・イーストウッドが『人生の特等席』(2012年)以来の主演を務め、健在ぶりを示した。

といってももうイーストウッドも映画公開時は88歳とかなりの高齢。

映画の主人公アールの設定年齢が90歳でちょうど良いとはいえ、監督まで務めたそのバイタリティには恐れ入る。

作品はニューヨーク・タイムズ誌でサム・ドルニックが執筆した記事が原案になっている。

第二次世界大戦の退役軍人である園芸家のレオ・シャープという80代の男性が、シロアナ・カルテルの麻薬運搬人となった実話を基にしている。

主人公がなかなか警察に捕まらない運び屋として活躍する前半から中盤までは、いつ捕まるやら、いつミスをしてマフィアから殺されるやらと、ユーモア混じりにハラハラさせられる。

だがドラマの本番は家族との絆がテーマだ。

家族をかえりみなかったため家族から半ばそっぽを向かれた主人公アールだが、元妻が(おそらく末期ガンで)倒れたとき、はじめて失った時間の重さと大切さを実感する。

ただの麻薬の“運び屋”の話しではなく、こうしたしっとりしたテーマをちゃんと見せる、しかもイーストウッド映画ならではの手の込みよう。

主演も監督も健在、やはりさすがの巨匠イーストウッドだ。

こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『ハドソン川の奇跡』NYで起きた航空機事故・奇跡の生還劇を機長の手記をもとにイーストウッド×トム・ハンクスで映画化!

コメント

タイトルとURLをコピーしました