映画評『キリング・フィールド』

映画 映画評
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『キリング・フィールド』
1984年イギリス
監督:ローランド・ジョフィ
脚本:ブルース・ロビンソン
出演:サム・ウォーターストン
   ハイン・S・ニョール
音楽:マイク・オールドフィールド

最初から本筋から外れて申し訳ないが、音楽のマイク・オールドフィールドは70年代ロックシーンにおいては有名アーティストで、『チューブラー・ベルズ』のイントロが映画『エクソシスト』で起用されていてご存知の方も多いかと思う。

が、この映画においてはマイク・オールドフィールドのBGMは半分くらい要らなかったんじゃないかなと思う。マイク・オールドフィールドには悪いけど。

それくらい画に力があるのだ。

タイトルにもなっている「キリング・フィールド」とはポル・ポト政権下のカンボジアで大量虐殺が行われた刑場跡の俗称。

このカンボジア内戦における虐殺をテーマとしたのが今回の映画『キリング・フィールド』である。

アメリカのニューヨーク・タイムズ紙の記者シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)と彼の助手に採用されたカンボジア人ディス・プラン(ハイン・S・ニョール)の実話をもとに制作された。

メガホンを取ったローランド・ジョフィは、カンボジア内戦の混乱のプノンペンを臨場感たっぷりに描写ていく。

まさに戦場の恐怖だ。

あちこちで爆発が怒り、人々は逃げ惑い(これも相当数のエキストラだ)、クメール・ルージュの暴力から逃げるためにフランス領事館に向かう記者たちは先の読めない状況に文字通り必死だ。

混沌の渦のようなプノンペンでの前半と対照的に、後半は強制労働に従事させられるプランの鬼気迫る忍従と、息を殺さんばかりの脱走劇、そして戦火の大地を静かにさまようシーンはハイン・S・ニョールがアカデミー助演男優賞を受賞するのも納得。

歴史的には、クメール・ルージュによる凄惨な虐殺(当時の国民の3分の1が数年の間に殺された)があったはずなので、もっとそのあたりが描かれるかと思っていたが、作品全体を見渡すと、編集がうまいのでその隙間が見当たらない。(アカデミー賞編集賞・撮影賞も受賞しているのだ)

ラストシーン、赤十字のキャンプをバックにテロップが流れる。

Cambodia’s torment has not yet ended.
(カンボジアの苦悩は終わっていない)

The refugee camps on the Thai border are still crowded with the children of the killing fields.
(タイ国境線上の難民キャンプは虐殺の野を逃れてきた子供であふれている)

約40年前の出来事だが、いまだに爪痕は残っている。

この映画も人間の悲惨さと、そして一抹の望み(友情)を描いた 作品として記憶に残るものだ。

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