『ゴッドファーザー』
原題:The Godfather
原作:マリオ・プーゾ
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:マリオ・プーゾ
フランシス・フォード・コッポラ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マーロン・ブランド
アル・パチーノ
ジェームズ・カーン
ロバート・デュバル
『ゴッドファーザー』イントロダクション
1945年。
第二次世界大戦も終わったばかりのニューヨーク。
ニューヨーク5大ファミリーのうち、最大勢力を誇るイタリア系マフィア「コルレオーネ・ファミリー」の邸宅では、ドン・コルレオーネ=ヴィトー(マーロン・ブランド)の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚式が盛大に催されていた。
ドン・コルレオーネの三男マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)は裏の世界には属さず、開戦とともにアメリカ海兵隊に入隊し、戦場で活躍したことから英雄視されていた。
コニーの結婚式に参列していたマイケルは、婚約者のケイ(ダイアン・キートン)を家族に紹介、祝福で迎えられる。
その華やかさの裏で、ヴィトーはゴッドファーザーとして、娘をレイプされた葬儀屋の報復を部下に指示したり、歌手のジョニーを叱咤激励しつつ、ジョニーを業界から干そうとしていたプロデューサーを脅すために馬の頭を斬りおとし彼のベッドに放り込むなどしていた。
ある日、5大ファミリーのタッタリア・ファミリーに客分として迎えられている密売人のソロッツォ(アル・レッティエリ)が、ニューヨーク新たなヘロインの商売先とするべく、政治家や司法とコネがあるコルレオーネを頼ってくる。
ふだんから麻薬の扱いを固く禁じているヴィトーはこれを拒絶するが、長男のソニー(ジェームズ・カーン)は乗り気になる。
ソロッツォは、ジャマなヴィトーを消せば取引は可能と考え、ヴィトー襲撃事件をタッタリアファミリーと共に引き起こす。
ヴィトーは複数の銃弾を受け、昏睡状態に陥るも、なんとか一命はとりとめる。
今度は報復を訴えるソニーの指揮の下で、コルレオーネ家とタッタリア家の激しい抗争が立ち上がる。
そのなか、意識の戻らぬ父ヴィトーの見舞いに病院を訪れたマイケルは、なぜか護衛たちが警察の指示で追い払われていることに気付き、機転を利かせヴィトーをタッタリアの襲撃から守る。
警察のマクラスキー警部(スターリング・ヘイドン)もタッタリアの協力者だった。
父を守る思いと怒りに燃えるマイケルは、自らの身をを裏社会に投じることを決意する・・・。
映画史に残る金字塔『ゴッドファーザー』
映画『ゴッドファーザー』はイタリア系マフィアであるコルレオーネ・ファミリーを描いたマリオ・プーゾの小説をもとに、フランシス・フォード・コッポラが映像化したもので、特にドン・コルレオーネの晩年と三男マイケルがドンの地位に就くまでを描いている。
『ゴッドファーザー』の大ヒットまで、コッポラは一部の批評家には評価されていたが、まだマイナーな監督・脚本家だった。
主人公のヴィトー役には、このころすでに大物俳優だったマーロン・ブランドが自ら名乗りを上げている。
このときのマーロン・ブランドとコッポラの関係は、のちにカルト的戦争映画『地獄の黙示録』(1979年)につながることになるが、またそれは別のお話。
さて小説の『ゴッドファーザー』は、少年ヴィトーが移民としてアメリカにやってきて、やがてマフィアとしてのし上がり、そして跡を継いだマイケルが組織を守ろうとして家族を失っていく、という物語になっているが、映画の『ゴッドファーザー』ではすでに晩年のヴィトーからマイケルへの代替わりに焦点を当てている。
それだけでも3時間近い大長編になっているし、(今作の大ヒットをうけ、)映画は『パート2』『パート3』と続いていく。
これから見ようという方には、ちょっと荷が重いと感じるかもしれない。
初見ではコルレオーネ・ファミリーの構成など、ちょっと複雑でわかりにくいところもある。
しかし一度理解できると、こんなに完成された映画もそうないのである。
家族間の愛憎や苦悩、マフィア同士の抗争のスリリングさ、けして派手なアクション映画ではないが、普遍的な人間臭さがある。
役者陣の作りこみもマーロン・ブランドを筆頭にすばらしく、映画三作品を通してキャラクター作りが成功しているからこそ、多くの人が見て、いろんな登場人物に共感できる。
第45回アカデミー賞で作品賞、主演男優賞、脚色賞を受賞したのみならず、その後の映画ベスト・ランキングでも、つねにランク上位に位置しているのは伊達ではない。
初見の方は、マーロン・ブランド演じるヴィトーと、アル・パチーノ演じるマイケル、この二人のドン・コルレオーネに注目していただくだけでも結構である。
それでも十分面白い。
細部や枝葉はあとからでも楽しめる。
イタリアン・マフィアの世界にようこそ。
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