映画評『ゴッドファーザーPARTⅢ』栄華を極めたマイケルの晩年を悔恨と苦悩で描くエピローグ

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『ゴッドファーザーPARTⅢ』
原題:The Godfather Part III
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
   マリオ・プーゾ
音楽:カーマイン・コッポラ
   ニーノ・ロータ
出演:アル・パチーノ
   アンディ・ガルシア
   ダイアン・キートン
   タリア・シャイア
   イーライ・ウォラック

『ゴッドファーザーPARTⅢ』イントロダクション

1979年ニューヨーク。

最大有力マフィアの一つ、コルレオーネ・ファミリーのドン、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)は、「ヴィトー・コルレオーネ財団」を設立、「シシリー復興のための資金」と銘打った多額の寄付によりバチカンから叙勲され、そのことからバチカン内で資金運営を握るアメリカ人ギルディ大司教(ドナル・ドネリー)とコネを持つことに成功する。

これを機にマイケルは、長年にわたり賭博等非合法なビジネスに関与してきた一族の活動から一線をしりぞき、ファミリーの存在を合法的なものにするという夢を画策していた。

寄付の窓口であるギルディ大司教は、彼をはじめとするバチカン関係者の横領によって発生した巨額の損失金の補てんをマイケルに持ち掛ける。

それと引き換えに、マイケルはバチカンと関係の深い、ヨーロッパを中心に活動する当時会社「インターナショナル・インモビリアーレ」の株の25%を取得、そして同社の運営権を奪い取る後押しを得る。

このことでコルレオーネ・ファミリーは合法路線への舵が切られたはずであった。

しかし、マイケルの思惑は思わぬところから狂い始める。

マイケルの息子アンソニー(フランク・ダンブロシオ)は、親しんでいた叔父のフレドの暗殺(表向きは水死・『ゴッドファーザーPARTⅡ』)をきっかけに、父親の裏の顔を知り、家業を継ぐことを拒否、オペラ歌手になる道を選んだのだ。

マイケルは兄ソニーの私生児ヴィンセント・マンシーニ(アンディ・ガルシア)に、ファミリーの違法ビジネスの大部分を引き継いでいた。

喧嘩っ早いヴィンセントは、新興ボスのジョーイ・ザザ(ジョー・マンテーニャ)と対立しており、マイケルはいちどはジョーイ・ザザとの関係を和らげようとするが、ジョーイ・ザザはマイケル他ファミリーのメンバーの暗殺を試みる。

だがこれは失敗に終わり、ジョーイ・ザザはリトル・イタリーのパレードのさなか、騎馬警官に扮したヴィンセントに射殺される。

ジョーイ・ザザの裏には、マイケルの追い落としをはかったコルレオーネ・ファミリー内のドン・アルトベッロ(イーラー・ウォラック)の影がうごめいていた・・・。

マイケルの晩年を苦悩と悔恨で描くエピローグ『ゴッドファーザーPARTⅢ』

ファミリーの祖ヴィトー・コルレオーネとその息子マイケルの物語『ゴッドファーザー』シリーズの最終章は、栄華を極めたマイケルの晩年を苦悩と悔恨で描く悲劇的エピローグである。

当初監督のフランシス・フォード・コッポラは、映画のタイトルを『マイケル・コルレオーネの死』としていたように、本作は『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPARTⅡ』に続く三部作ではなく、その後日譚と位置づけられていた。

映画製作会社のパラマウント側の意向によりそのタイトル案は却下、ご存知の通りタイトルは『ゴッドファーザーPARTⅢ』となったわけであるが、内容は見ての通り、マイケルの晩年のエピソードとなっている。

強引な手段でファミリーを守り、家族を犠牲にして戦ってきたマイケルだが、年を取るにつれてだんだん体に無理が利かなくなってくる。

糖尿病を患い、跡取り息子には逃げられる。

マイケルの心を襲うのは、過去に犯してきたさまざまな罪への後悔の念。

ファミリー合法化という夢のため多額の寄付をして近づいたバチカンも、なんと汚職にまみれていた。

このバチカンの大スキャンダルについては、脚本のコッポラとマルコ・プーゾの創作ではない。

実際に1970年代後半から1980年代にかけて明らかになったバチカンの金融スキャンダル、それに関連して起きたとうわさされる法王ヨハネ・パウロ1世の急死、1982年に起きたロベルト・カルヴィ(イタリアの銀行家で、バチカンの資金管理を行う銀行の頭取だった)暗殺事件などが、映画にはほぼ史実に近い形で織り込まれている。

このとおりイタリアン・マフィアと政界、バチカンの腐敗をあからさまに批判したことや、斜陽をむかえ後悔し、苦悩ばかりのマイケルを描いた本作は、前二作にくらべるとどうしても暗く、娯楽性には欠ける内容だ。

しかしマイケルの悲しみ、懺悔、人生のままゆかぬ様を、そこらへんの映画よりは全然上の演出で見せる本作は、及第点は超えている。

二部作+後日譚、ではなく、三部作としての『ゴッドファーザー』の最終作として評価したい。

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