映画評『ゴッドファーザーPARTⅡ』父と息子の栄枯盛衰を描くシリーズ2作目

映画 映画評
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『ゴッドファーザーPARTⅡ』
原題:The Godfather Part II
監督:フランシス・フォード・コッポラ
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
   マリオ・プーゾ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:アル・パチーノ
   ロバート・デュバル
   ロバート・デ・ニーロ

『ゴッドファーザーPARTⅡ』イントロダクション

1901年。

シチリア島コルレオーネ村。

9歳の少年ヴィトーは、父アントニオと兄パオロを地元マフィアのドン・チッチオ(ジュゼッペ・シラート)に殺され、今度はヴィトーが命を狙われる。

助命嘆願にチッチオのもとを訪れる母親も目の前で殺され、ヴィトーは村の協力者たちの手でアメリカ行きの移民船に乗った。

ニューヨーク港の入国管理官に名前を訪ねられるも、英語がわからないヴィトーは何も言葉にできず、管理官はヴィトーが持っていた名札を見て出身地を名字に誤読、登録し、これよりヴィトーは「ヴィトー・コルレオーネ」と名乗ることになる。

1958年。

亡くなった父ヴィトーの跡を継ぎ、ニューヨーク5大ファミリーのドンたちを次々に暗殺し、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)は裏社会で強力な権力を手に入れ、今はネバダ州に本拠地を移していた。

タホ湖の湖畔にあるマイケルの邸宅では、息子アンソニー・ヴィトー・コルレオーネの初聖体式を祝う盛大なパーティが催されていた。

パーティには、コルレオーネ・ファミリーの古参ピーター・クレメンザ亡き後、彼のニューヨークの縄張りを引き継いだフランク・ペンタンジェリ(マイケル・V・ガッツォ)の姿があった。

ペンタンジェリはその縄張りをめぐってロサト兄弟(ダニー・アイエロ、カーマイン・カリディ)と対立しており、マイケルにその解決を依頼する。

だがロサト兄弟の裏には、ユダヤ家マフィアの大物で先代ヴィトーの盟友だったハイマン・ロス(リー・ストラスバーグ)がおり、マイケルは事を荒立てたくない。

マイケルはペンタンジェリにこの場は我慢するように言う。

その夜、マイケルは妻のケイ(ダイアン・キートン)とともに寝室にいるところを、窓の外からマシンガンで銃撃を受ける。

犯人がわからないまま、邸宅内での事件であることから、身近なものがかかわっていること、またニューヨークの縄張りに関係があると推理したマイケルは、ひとまず本拠を義兄弟のトム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)に任せ、単身マイアミのハイマン・ロスの邸宅に向かった・・・。

父と息子の栄枯盛衰が描かれる『ゴッドファーザーPARTⅡ』

この映画では父ヴィトー・コルレオーネ(ロバート・デ・ニーロ)のアメリカ移民から徐々に成り上がっていく青年時代と、ヴィトーの息子マイケルが敵を打ち破りつつもしだいに家族を失っていくという、二つの物語が折り重なって描かれる。

ヴィトーはニューヨーク逃亡後は、リトル・イタリーの食料品店で働く一青年でしかなかったが、持ち前の誠実さ、道徳心の強さ、家屋と仲間に対する慈悲深さから、誰からも強く尊敬される。

嫌われ者で恐喝屋のドン・ファヌッチ(ガストーネ・モスキン)を殺害したことから、周囲の信頼を獲得し、友人のクレメンザ(ブルーノ・カービー)、テッシオ(エイブ・ヴィゴダ)と共にマフィアのボスとしてのし上がっていく。

いっぽうのヴィトーの息子マイケルは、三男でありながらその才覚からコルレオーネ・ファミリーのボスと認められ(前作『ゴッドファーザー』)、ファミリーを守るために立ちはだかる敵を冷酷に排除していく。

だがその敵は、ハイマン・ロスやフランク・ペンタンジェリといった、かつての父の盟友でもあった。

過酷な暗闘の過程でマイケルはかつて持っていた暖かな心を失い、実の兄の命すらも奪う冷たい人間へと変わっていってしまう。

この親子二人の物語が、実に対照的に、そして映画後半に向かって巧みに収斂していく。

前作に引き続きさまざまな人間模様が織りなし、今度は二つの時代、二人の主人公を追うことで、映画は複雑な様相を見せるが、前作にも勝るとも劣らぬ完成度の高さでアカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞、美術賞、作曲賞と6部門を制覇している。

青年時代のヴィトーを演じたロバート・デ・ニーロはまだこのころは無名の役者に過ぎなかったが、前作のマーロン・ブランドに寄せた高い演技力を絶賛され、上記の通りアカデミー賞助演男優賞を受賞している。

また『ゴッドファーザー』『ゴッドファーザーPARTⅡ』と、連続ものでアカデミー賞を受賞した作品は、史上初であった。

この映画の弱点は3時間半という上映時間の長さである。

だが同時に良いところは、3時間半もコルレオーネ・ファミリーの青春期と壮年期を堪能できることだ。

『PARTⅡ』も前作と同じく、オールタイムベスト企画では常に上位に食い込む名作。

ファミリーの人生にいちど連れ添ってみてほしい。

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