映画評『ダーティハリー3』シリーズ初の女性相棒の活躍に注目

映画 映画評
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『ダーティハリー3』
1976年アメリカ
原題:The Enforcer
監督:ジェームズ・ファーゴ
脚本:スターリング・シリファント
   ディーン・リーズナー
音楽:ジェリー・フィールディング
出演:クリント・イーストウッド
   タイン・デイリー

『ダーティハリー3』イントロダクション

サンフランシスコ市警察のハリー・キャラハン刑事(クリント・イーストウッド)は、事件を解決するためには物的・人的被害を気にせず、事件解決のためには強引なやり方もいとわず、周囲から「汚い(ダーティ)ハリー」と呼ばれている。

今回も相棒のフランク(ジョン・ミッチャム)と共に巡回中、めぐり合わせた雑貨店強盗事件に急行、店にに車ごと突っ込み、犯人を全員射殺して解決する。

しかし膨大な被害額の請求や人質への配慮不足で市長(ジョン・クロウフォード)やマッケイ市警察本部長(ブラッドフォード・ディルマン)は烈火のごとく怒り、ハリーに人事課への異動を命じる。

翌日、人事課での刑事昇任試験に立ち会うハリーだったが、実地経験や現場の状況を無視してでも女性を一定数増やすという市の人事方針に反感を覚える。

ハリーは、重犯罪者はおろか、軽犯罪者すらと構えたこともないという女性候補ケイト・ムーア(タイン・デイリー)につらく当たる。

ある夜、ハミルトン兵器工場が「人民革命軍団」を名乗るグループに襲撃を受ける。

新たな相棒と巡回中だったフランクはその現場に遭遇し、フランクは犯人グループを追い詰める。

だが、あと一歩のところで背後から犯人グループのボス、ボビー・マックスウェル(デヴァレン・ブックウォルター)からサバイバルナイフで刺され、重傷を負ってしまう。

犯人グループはそのまま武器強奪を成功させ逃走。

フランクが入院した病院に駆け付けたハリーは、フランクから犯人の手掛かりの言葉を聞く。

フランクはその直後、息を引き取ってしまう。

犯人グループ「人民革命軍団」は、100万ドルを要求、さもなくばサンフランシスコ市中を爆破するという。

事件解決のために殺人課へ戻されたハリーは、マッケイ本部長から新しい相棒として、刑事に昇任したケイトと組むことを命じられる・・・。

初の女性相棒の活躍に注目『ダーティハリー3』

これまでの作品にはないアプローチとして、ハリーの相棒に女性が就く点に着目したい。

1976年ともなれば、女性の社会進出の機運も高くなってきており、これに映画も乗った形だろう。

(ウーマン・リブ運動により国連総会において「女子差別撤廃条約」が採決されるのは1979年になってからである)

とは言え、劇中には売春宿やポルノビデオの撮影シーンの描写など、まだまだ女性差別の根深さはぬぐえていないが。

また今回の犯人である「人民革命軍団」は、名称からすると社会主義の政治集団のようだが、その実態は、政治思想も何もなく、ヴェトナム戦争の帰還兵の集まりで、リーダーのボビーは中でも、殺人を楽しむという危険性から不名誉除隊になった男。

このあたりも、当時の世相を反映している。

今回、音楽を担当するのはジェリー・フィールディング。

チェイスシーンのスピーディーでジャジーな曲など、日本のアニメ『ルパン三世』や『カウボーイビバップ』なども案外このへんを意識しているのではないか。

『ダーティハリー』シリーズでは、今回だけがジェリー・フィールディングが担当しており、次回からはまたラロ・シフリンに戻る。

ラロ・シフリンの緊迫感をあおるスコアも悪くないのだが、ジェリー・フィールディングのジャズが基調の軽快な劇版もアクションシーンにはぴったりで、もし今回の『ダーティハリー3』以降も音楽担当していても面白かっただろう。

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