『ダーティハリー5』
原題:The Dead Pool
監督:バディ・ヴァン・ホーン
脚本:スティーブ・シャロン
音楽:ラロ・シフリン
出演:クリント・イーストウッド
パトリシア・クラークソン
リーアム・ニーソン
『ダーティハリー5』イントロダクション
サンフランシスコ市警の刑事ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)は、違法賭博の元締めジェネロ(アンソニー・チャルノータ)を逮捕、有罪に持ち込み、マスコミに喧伝されたことで、一躍ヒーローとなる。
ハリーは夜のサンフランシスコ市街を巡回中、ジェネロの手下に銃撃を受けるが、これを返り討ちにする。
だが派手な捕り物のために覆面パトカーは破壊され、上司のドネリー(マイケル・カリー)はしばらくの内勤をハリーに言いつける。
いっぽうで警察の広報担当アッカーマン(マイケル・グッドウィン)からは、サンフランシスコ市警のイメージアップのため、マスコミへの協力を依頼される。
だが、マスコミが嫌いなハリーは依頼を拒否、捜査に戻ろうとするが、ドネリーから捜査に戻る条件として、中華系アメリカ人のクワン(エヴァン・C・キム)とコンビを組むことを命じられる。
ハリーとクワンは、人気ロックスターのジョニー・スクエアーズ(ジム・キャリー)死亡の連絡を受け、現場に向かう。
そこはジョニーが主演を務めるホラー映画の撮影現場だった。
ジョニーの死因は薬物の大量摂取で、ハリーは発見者のスワン監督(リーアム・ニーソン)から事情聴取をするが、スワンはハリーに協力的ではなかった。
事件を聞いて押し寄せるマスコミ。
その中にレポーターのサマンサ・ウォーカー(パトリシア・クラークソン)がいた。
泣き崩れるジョニーの恋人の姿をカメラに収めようとするサマンサ。
被害者とその関係者への配慮に欠ける取材に腹を立てたハリーは、カメラマンからカメラを取り上げ、破壊する。
そこでサマンサはハリーに一目置く。
捜査のためにチャイナタウンを訪れるハリーとクワン。
そこで強盗現場に遭遇し、ハリーは強盗犯3人を44マグナムで射殺、クワンが残り一人を取り抑える。
事件解決後、クワンが、強盗に射殺された被害者の衣類から、有名人の名前が羅列されたメモを発見する。
そのメモにはジョニーの名前が書いてあり、「死亡」と添えてあった。
さらにメモには、ハリー・キャラハンの名前も書かれていた。
ハリーとクワンは「デッド・プール」と呼ばれる死のゲームの存在を知る・・・。
リーアム・ニーソンも出演!シリーズ最終作『ダーティハリー5』
いよいよ『ダーティハリー』シリーズも最終作となる。
『ダーティハリー5』では、ハリー・キャラハンのキャラクターにも変化が見えてくる。
事件解決のために手段を選ばぬ(犯人は射殺する、周囲の破壊など被害は気にしない)ハリーには変わりはないのだが、目に見えて変化を見せたのは「女性に対し紳士的」であること。
前作『ダーティハリー4』でもヒロインに対し、それまでは見せなかった女性への接し方を見せていたのだが、今回の『5』では、食事にエスコートするなど、若かりしハリー・キャラハンにはありえなかった態度である。
これはハリー・キャラハンというキャラクターが、年を追うにしたがって役を演じるクリント・イーストウッドという存在に近寄ったためかもしれない。
彼が出演してきたさまざまな映画で形作られていったイメージだけれども、クリント・イーストウッドといえばこんなキャラ、というのが視聴者やファンの中にできてきて、「ダーティハリー」もいつのまにか(造られた)イーストウッド像で作劇されるようになったのだろう。
シリーズ最終作ではあるが、見どころ、聴きどころはいくつかある。
まだ端役時代のリーアム・ニーソンが出演している。
アクションも何もしない、ホラー映画の監督という役どころだ。
また、そのホラー映画で使用されているのが、ガンズ・アンド・ローゼスのヒット曲「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」だ。
ガンズのバンドメンバーが出演しているわけではないけれども、こんなところでガンズの曲が聴けるとはびっくりだ。
ちょうどガンズ全盛期だったが、あまり劇中ではいいあつかいを受けているとは言えない。
そのせいというわけでもないだろうが、『ダーティハリー5』は興行的にも前作にははるか及ばない成績となった。(前作が6千7百60万ドルだったのに対し、今作は3千7百9千万ドル)
イーストウッドの年齢もアクション的には厳しいものになってきたのもあるだろうが、フェードアウトはしょうがないだろう。
こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『ダーティハリー4』イーストウッド自身が監督・主演を務めたシリーズ一番のヒット作
コメント