映画評『ザ・サークル』SNSを題材に、社会がはらむ脅威を鮮明に描き出し、現代の風潮に警鐘を鳴らすディストピア・スリラー映画

映写機 映画評
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『ザ・サークル』
2017年アメリカ
原題:The Circle
監督:ジェームズ・ポンソルト
脚本:ジェームズ・ポンソルト
   デイヴ・エガーズ
原作:デイヴ・エガーズ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:エマ・ワトソン
   トム・ハンクス
   ジョン・ボイエガ
   カレン・ギラン
   エラー・コルトレーン
   パットン・オズワルド
   グレン・ヘドリー
   ビル・パクストン
   

『ザ・サークル』イントロダクション

カリフォルニア州ロサンゼルス。

メイ・ホランド(エマ・ワトソン)は水道会社でコールセンターの仕事をしていたが、日々寄せられる客の苦情にうんざりしていた。

名は時折、気分転換にカヤックで川に漕ぎ出すことだったが、その日の帰り、運悪く乗っていた自動車が故障してしまう。

メイはボーイフレンドのマーサー(エラー・コルトレーン)に助けを求め、車を修理してもらう。

マーサーはメイをデートに誘いたいと思っていたが、奥手の彼はなかなか言葉にすることができずにいた。

その様子に気づくことなく、メイは帰途に着く。

メイには両親がいたが、父親のヴィニー(ビル・パクストン)は難病のMS患者(多発性硬化症)で、母親のボニー(グレン・へドリー)の介助が欠かせなかった。

ヴィニーの病気の治療には一般人ではとても賄えないようなお金がかかり、現状、彼の病は緩やかな悪化の道をたどっていた。

ある日、いつものようにコールセンターで仕事をしていたメイは、親友のアニー・アラートン(カレン・ギラン)から電話をもらう。

アニーは一流IT企業「ザ・サークル」で勤務しており、メイはアニーに仕事の紹介を頼んでいたのだ。

アニーは面接が決まったことをメイに告げ、メイは狂喜する。

喜びながらも緊張いっぱいで面接に行ったメイは、面接官の繰り出す矢継ぎ早の質問に何とか回答し、合格を勝ち取る。

転職に成功したメイに、親友のアニーはザ・サークルの敷地と施設を案内して回るが、そのせわしなさと一見ITとは無関係そうな活動の多さにメイは少々困惑する。

あたらしいオフィスでも、指導係に仕事内容を教わるが、スピードが速く戸惑うメイ。

勤務が始まって一週間後、メイは『ドリーム・フライデー』というザ・サークル経営者のイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)の社内スピーチ会に出席。

そこでベイリーはザ・サークルが新しく発表する商品サービス『シー・チェンジ(See Change)』を紹介した。

それはピンポン玉ほどの球状ワイヤレス小型カメラを世界中あちこちに設置し、いつでもどこでも、見たい場所を見ることができるインフラの紹介だった。

ベイリーは「シェアはケアだ」「起きたことを我々は知る権利がある」「知ることはいいことだ」とプレゼンし、会場は賛同する社員たちの拍手喝采が起きる。

その雰囲気にまだメイはついていけなかったが、刺激的な毎日はメイをザ・サークルの信奉者に変えていく・・・。

SNSを題材に、社会がはらむ脅威を鮮明に描き出し、現代の風潮に警鐘を鳴らすディストピア・スリラー映画『ザ・サークル』

まさにSNSメディアが世界中で大きな影響力をふるう現代において、その社会がはらむ脅威を鮮明に描き出し、衝撃を与えたデイヴ・エガーズの同名小説を、エマ・ワトソン主演で映画化したディストピア・スリラー。

超小型カメラによって自分の生活をネット上に公開するSNSのサービスのモデルケースになった女性が、最初は世界中の注目を浴びて1000万のフォロワー数を誇るが、しだいにシステムの裏に潜む欠陥に気づいていく。

YOUTUBEやインスタグラム、Twitterなど、実際のSNSがはらんでおり、しかも映画のような監視社会があるきっかけがあればすぐにでも実現してしまうかもしれないという恐怖をこの作品では描いている。

こういった一つのメディアによるインフラや思想の統一に向かう近未来は、案外近くに来ているかもしれない。

トム・ハンクスの演技は素晴らしかったが、映画としては地味な展開で、派手なアクションシーンは無く、知的ではあるがエンタメ性にはやや欠けるものになっている。

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