映画評『悪い種子』一見無邪気でかわいらしい子どもの心に潜む悪魔性を、名匠マービン・ルロイ監督がモノクロ画像で不気味に描く傑作スリラー

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『悪い種子』
1956年アメリカ
原題:The Bad Seed
監督:マービン・ルロイ
脚本:ジョン・リー・メイヒン
原作:ウィリアム・マーチ
音楽:アレックス・ノース
出演:ナンシー・ケリー
   パティ・マコーマック
   ヘンリー・ジョーンズ
   アイリーン・ヘッカート
   イヴリン・ヴァーデン
   ウィリアム・ホッパー
   ポール・フィックス
   ジェーシー・ホワイト
   ジョージ・クラーク
   ジョーン・クロイドン
   フランク・キャディ

『悪い種子』イントロダクション

アメリカのとある町。

少女ローダ(パティ・マコーマック)は、優しい父母をもち、経済的にも恵まれた家庭に育ち、近所の人からも可愛がられている。

今日は学校のピクニックの日。

ローダはお気に入りのタップダンス用の靴を履き、ステップを踏みながら行楽を楽しんでいた。

しかしそんなローダは、ひとつ不満なことがあった。

それは学校で自分がもらえるはずだと信じていた一等賞のメダルが、自分ではなくほかの少年が貰ったということだった。

学校のピクニックは、悲劇的な事故により中止になる。

ローダと同じく参加していたメダルをもらった少年が、湖でおぼれ死んでしまったのだ。

ピクニックの中止を受け、帰宅するローダ。

ローダの母クリスティーン・ペンマーク(ナンシー・ケリー)は、娘が恐ろしい事故の現場にいたことにショックを受け、娘にどう接したらいいか悩む。

ところがローダは、溺死した少年に同情をみせるでもなくショックを受けた様子もなかった。

ただ、ピクニックが中止になってしまったことだけを悔しがっているローダを見て、クリスティーンは胸にもやもやとした恐怖を抱きはじめる。

同時にクリスティーンは、自分が子供のころから疑問に思っている自分の出生について思いふけるようになる。

自分は両親の本当の子供ではなく、どこかから引き取られたような気がしてならなかったのだ。

家に遊びに来た父リチャード・ブラボー(ポール・フィックス)に悩みを打ち明け、渋る父親から真相を聞き出すクリスティーン。

その内容は、クリスティーンの実の母親はかつて殺人鬼として逮捕された女性である、という衝撃的なものだった。

そしてクリスティーンは、友人の犯罪学者レジナルド・タスカー(ジョージ・クラーク)に殺人鬼の血は遺伝するのかどうかを尋ねる。

クリスティーンは、ローダの様子を見ていると、ローダがメダル欲しさに少年を殺したのではないかという疑念を胸から追い払うことができなかったのだ・・・。


一見無邪気でかわいらしい子どもの心に潜む悪魔性を、名匠マービン・ルロイ監督がモノクロ画像で不気味に描く傑作スリラー『悪い種子』

無邪気でかわいらしい少女ローダは、自分の欲しいものを手に入れるために殺人を重ねていく。

そしてローダの母クリスティーンは自分の血のなかに殺人鬼の遺伝子が潜んでいることを知り、その「悪い種子」がローダにも受け継がれていると、衝撃を受ける。

1954年にウィリアム・マーチが書いた小説を原作に、名匠マービン・ルロイが、子供の心に潜む悪魔性をモノクロ画像を駆使して不気味に描く傑作スリラー。

衝撃的なラストを受け、本編終了後に「くれぐれも最後のヤマ場を口外なさいませんように」とメッセージが出る。

第14回ゴールデングローブ賞助演女優賞(アイリーン・ヘッカート)のほか、第29回アカデミー賞では4部門ノミネートされている。

公開された当時のヘイズコード(映画業界の自主規制の規範)により、ラストが原作よりもマイルド印象になるように変更されている。


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