『断崖』
1941年アメリカ
原題:Suspicion
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:サムソン・ラファエルソン
アルマ・レヴィル
ジョーン・ハリソン
原作:フランシス・アイルズ
『レディに捧げる殺人物語』
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:ジョーン・フォンテイン
ケーリー・グラント
ナイジェル・ブルース
セドリック・ハードウィック
デイム・メイ・ウィッティ
イザベル・ジーンズ
ヘザー・エンジェル
オリオール・リー
レジナルド・シェフィールド
レオ・G・キャロル
『断崖』イントロダクション
イギリス。
汽車の一等席で読書をしていた良家の娘リナ(ジョーン・フォンテイン)の向かいの席に、一人の男が座る。
その男・・・ジョニー(ケーリー・グラント)は人懐こく、リナにずけずけと話しかける。
車掌がやってきて「切符を拝見」
リナは一等席の切符をみせるが、ジョニーの切符は三等席のものだった。
「おかしいな、一等席の料金を払ったのに」とジョニー。
車掌はしかし差額を払えと要求する。
ポケットをあさるジョニーだが、「札がない」「小銭ばかりだ」
さらにはその小銭も差額には足りないときた。
ジョニーは図々しく、「きみ、小銭持ってないか?」とリナに尋ねる。
カバンを探すリナの手元に、切手が出てきたのをすかさず認めたジョニーは、「その切手でいい」「切手も立派な通貨だ」といって車掌に差額を払った。
ジョニーの振る舞いにあきれるリナは、持っていた新聞に大きくジョニーが乗っているのを見つけ、ジョニーがイギリス社交界でも有名なプレイボーイだと知る。
さて駅を降りて。
ジョニーは取り巻きの女性たちから、リナが将軍の娘であることを聞き知る。
リナはリナで、ジョニーのことが気になっており、例の新聞の写真を切り抜いて本にはさんでいた。
たまたまその本を手にしたジョニーは、自分の切り抜きを見つけ、リナが自分に気があることを確かめる。
ジョニーは女友達にまぎれてリナの自宅を訪れ、リナを教会に誘った。
ジョニーはそのままリナを散歩に連れ出し、リナに甘い言葉をささやく。
ジョニーはリナにキスしようとしたが、まじめなリナはそれを拒んで自宅へ帰る。
自宅へ帰ったリナは、両親が「あの娘は結婚に向いていない」と話しているのを盗み聞いてしまい、その言葉に反発したリナは、追ってきたジョニーに自分からキスをした。
リナがジョニーのことを両親に話すと、ジョニーの悪い噂を聞き知っていた父親は、不快感をあらわにする。
それからしばらくのあいだジョニーからの音沙汰が亡くなり、リナは落ち込んでいた。
だが、ジョニーから舞踏会の誘いの電報が届くや否や、リナは元気を取り戻し、めかしこんで舞踏会へ出かけた。
実はジョニーは舞踏会には招待されていなかった。
だが調子よくホストや案内係をかわすと、会場に入りリナと出会う。
ダンスも終わらぬうちに、ジョニーはリナを外へ連れ出し、ふたりはドライブへ行く。
車の中での熱いキスのあと、リナは自分から愛を告白する。
ジョニーは、リナのことは遊びでは済まされない、と本気で考えていた。
だがジョニーもリナとの結婚を決意、プロポーズをする・・・。
巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督、夫に殺されるのではないかと疑う妻の恐怖を描くロマンティック・サスペンス・スリラーの傑作。『断崖』
原題は“Suspicion”、直訳すると「疑惑」となる。
相手のことをよく知らないまま、調子のいいプレイボーイと結婚した新妻が、金に困った夫が自分を殺すのではないかという「疑惑」に憑りつかれていく。
精神的に徐々に追い詰められていく妻をジョーン・フォンテインが好演、第14回アカデミー賞では主演女優賞を受賞した。
ジョーン・フォンテインの演技の巧みさもさることながら、やはり巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の手腕も冴えわたっている。
不安をあおるカメラワークやカット割りなど、後世の作家たちのお手本となるヒッチコック節が随所で伺える。
また、ケーリー・グラント演じるジョニーのお金に対するだらしなさや、雪だるま式に転がり大きくなる借金の作り方などもよく練られており、これがまたサスペンスに結びついて、最後までジョニーの正体を視聴者も見切ることができない。
一見ハッピーエンドのような結末も、よくよく考えると実は・・・。
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