『スタンド・バイ・ミー』
1986年アメリカ
原題:Stand by Me
監督:ロブ・ライナー
脚本:ブルース・A・エヴェンス
レイノルド・ギデオン
原作:スティーヴン・キング
音楽:ジャック・ニッチェ
出演:ウィル・ウィートン
リヴァ―・フェニックス
ジェリー・オコンネル
キーファー・サザーランド
『スタンド・バイ・ミー』イントロダクション
作家ゴードン・ラチャンス(リチャード・ドレイファス)は、ある日一人の弁護士が殺された新聞記事を見て、少年時代をふと思い出す。
1959年、12歳のゴーディ(ウィル・ウィートン)が育ったのは、オレゴン州の人口1200人ほどのキャッスルロックという田舎町だった。
キャッスルロックはお世辞にも治安のよい町ではなく、何かしらの不遇な環境に置かれた貧しい人たちが暮らす場所だった。
その町で、ゴーディはクリス(リヴァ―・フェニックス)、テディ(コリー・フェルドマン)、バーン(ジェリー・オコンネル)の4人でいつもつるんで遊んでいた。
クリスは皆のリーダー格でゴーディの親友であったが、世間から白い目で見られる家族を持ち、本人もワルぶっていた。
フランス系のテディは粗野でクレイジーで、その環境もひどく、父親はテディの頭をストーブに押し付け、耳を焼きつぶすような男だった。
それぞれ性格が違う4人ではあったが、何かしらウマが合う4人は、その日も木の上に作った隠れ家で煙草をふかしてはカードで遊んでいた。
そこにバーンがある話を持ちかかる。
「みんな、死体を見たくないかい?」
町の不良グループのメンバーであるバーンの兄たちの会話をバーンが盗み聞きしたのだが、3日前から行方不明になっているレイ・ブラワーという少年が、30キロ先の森の奥で列車にはねられ死体のまま野ざらしになっているというのだ。
4人は「死体を見つけることができれば新聞に載り、ヒーローになれる」と、死体探しの旅に出ることを決める・・・。
かつて少年だったあなたへ。4人の少年たちが送ったひと夏の冒険物語『スタンド・バイ・ミー』
ベン・E・キングが歌う同名の主題歌のイントロが流れ出すと、この映画の数々の名シーンを思い出さずにはいられない。
1950年代の小さな田舎町に住む4人の少年が、好奇心から死体を探す冒険に出るという、ひと夏の出来事を描いている。
スティーヴン・キングといえばモダンホラーの作家というイメージが強いが、この『スタンド・バイ・ミー』や『ショーシャンクの空に』のように、キングの抒情的な部分を強調して成功した作品もある。
キングはその小説『不眠症』の中で、「人生というのは、満ち足りること少なく、ほとんどが退屈で、しばしば残酷で、だけどたまには美しい」と書いている。
その部分を拾ってくると、この『スタンド・バイ・ミー』にぴったり当てはまる。
またキングは、ブルドーザーのようにパワフルな面と、顕微鏡のように精密な面を同居させている、そういう二面性がある。
小さな田舎町を描くことの多いキングはその顕微鏡の精密さをもって登場人物たちのディテールを描き、それがその時代のアメリカを浮かび上がらせる要素にもなっている。
キングの比較的最近の作品では『IT/イット“それが見えたら、終わり”』(2017年)があるが、この作品でもスモールタウンでの少年たちの冒険が描かれる。
『IT』は完全にホラー作品としてつくられているが、少年たちの抒情的な物語の側面もあり、冒険と成長というテーマもあり、ある意味、裏『スタンド・バイ・ミー』とでも呼べるような作品になっているのも興味深い。
誰にでもあった、過ぎ去ったあのころを思い出す、かつて少年だったあなたへ。
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