映画評『スターリングラード 史上最大の市街戦』第2次世界大戦の大規模市街戦をソ連軍の視点から描いた戦争映画

スターリングラード 映画評
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『スターリングラード 史上最大の市街戦』
2014年ロシア
原題:Stalingrad
監督:フョードル・ボンダルチュク
脚本:セルゲイ・スネシュキン
   イリヤ・ティルキン
音楽:アンジェロ・バダラメンティ
出演:ピョートル・フョードロフ
   マリヤ・スモルニコワ
   トーマス・クレッチマン
   ヤニナ・ストゥディリナ

『スターリングラード 史上最大の市街戦』イントロダクション

1942年11月。

ソビエト連邦領内のスターリングラード市内では、ナチスドイツをはじめルーマニア、イタリア、ハンガリーからなる枢軸国軍と、ソビエト赤軍がヴォルガ川の支配権をめぐり激しい攻防を繰り広げていた。

枢軸軍が占領していた地区にひとつのアパートがあった。

そのアパートは立地上、ヴォルガ川を一望できる非常に戦略的に有利な建物だった。

そのアパートを奪取すべく突入したグロモフ大尉をはじめとするソ連兵たちは、そこで隠れていた少女カーチャを救い出す。

籠城する5人のソ連兵たちは、逃げようとしないカーチャとともにアパートを守る。

ともに時間を過ごすうちに、グロモフたちとカーチャのあいだには家族的とも呼べる愛情が芽生え始めた。

そんな中でも、カーン大尉を陣頭に枢軸軍の攻撃は幾重にも彼らを襲うのだった・・・。

第2次世界大戦の大規模市街戦をソ連軍の視点から描いた『スターリングラード 史上最大の市街戦』

この映画はスターリングラードの攻防戦をソ連軍の視点から描いたロシア製戦争アクションで、巨大なセットと迫力のVFXで再現された戦場の映像は圧倒的な臨場感で、ロシア映画史上No.1ヒットとなった。

スターリングラード攻防戦は、ソビエト連邦領内のヴォルガ川西岸に広がる工業都市スターリングラードを巡り繰り広げられた。

戦ったのはドイツ、ルーマニア、イタリア、ハンガリー、およびクロアチアからなる枢軸軍とソビエト赤軍である。

緒戦は枢軸軍側優位に進んでいたが、最終的にはソ連側の大規模攻勢により枢軸軍は包囲され、降伏している。

死者数は枢軸側が約85万人、ソビエト側が約120万人と言われ、独ソ戦の決定的な転換点の一つとなった。

映画は日本の3.11の大震災のシーンから始まる。

被災地に駆けつける各国の救援部隊のなかに、一人の男の姿がある。

セルゲイというその男は生き埋めになったドイツ人たちを救助するかたわら、励ましに自分の母親と5人の父親の話を始める。

この母親というのが、5人のソ連兵が守ったアパートに住んでいた少女である。

瓦礫と化した震災被災地の市街を、第二次大戦のなかでも凄惨を極めた戦いの一つ、スターリングラード攻防戦の市街とオーバーラップさせる演出ではあるが、正直必要だったかなと疑問を感じるところではある。

少女が最終的に戦争を生き延びセルゲイを無事出産したことを描きたかったのだろうが。

とまれこの映画は、単なるドンパチの派手さだけではなく、一般市民を巻き込む市街戦の壮絶さをまざまざと見せつける。

おもにソ連側の兵士たちが主眼で映画は進むが、彼らを責めたてる枢軸軍将校カーン大尉にもドラマがあり、両軍ともに極限状態におかれた兵士、民間人の悲惨さが描かれる。

そのなかで5人のソ連兵と少女の交流のエピソードが好対照にインサートされ、お互いを引き立てあっている。

ソ連側視点の映画なので、若干ソ連兵の5人達の戦闘能力が高すぎないかな、と苦笑するところもあるが(なにせ5人で10倍近い敵を返り討ちにするのである)、それもアクション映画のだいご味としては許容の範囲か。

近年実力をグングン伸ばしてきているロシア映画のなかでも、よくできた戦争映画だ。

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