『雨に唄えば』
1952年アメリカ
原題:Singin’ in the Rain
監督:ジーン・ケリー
スタンリー・ドネン
脚本:ベティ・コムデン
アドルフ・グリーン
音楽:ナシオ:ハーブ・ブラウン
出演:ジーン・ケリー
デビー・レイノルズ
ドナルド・オコナー
『雨に唄えば』イントロダクション
まだハリウッドがサイレント映画全盛期だったころ。
スタントマン上がりの俳優ドン・ロックウッド(ジーン・ケリー)と大女優リナ・モラント(ジーン・ヘイゲン)は、押しも押されぬドル箱映画スターであり、いくつものヒット作に競演する二人は結婚のうわさまで流れていた。
だが実際には、ファン雑誌の記事にあてられたリナが一方的にドンに惚れているだけで、ドンは結婚など考えてもいなかった。
ある夜の映画試写会も盛況で、ドンとリナの登場に会場は大いに沸く。
だが、舞台あいさつではドンしかしゃべらない。
リナにはドンがしゃべらせないようにフォローをしていた。
なぜならリナのしゃべる声はキイキイと甲高くまるで大女優の威厳がなく、スクリーンのイメージとは大違いだったからだ。
試写会成功のパーティーに出席前、ドンは出待ちのファンの女の子たちにもみくちゃにされ、衣装の上着がダメになってしまう。
その場を逃げるドンは偶然、駆け出し女優キャシー(デビー・レイノルズ)が運転する車に飛び乗る。
会話を交わすうち、ドンはキャシーに興味を持つが、キャシーはサイレント映画の役者は本物の役者ではない、と批判的。
キャシーは、自分は舞台役者で本物の役者を目指しているという。
キャシーの言葉に少なからずショックをおぼえ自らを省みるドン。
上着を新調し、改めてパーティーに出席するドンだったが、余興の踊り子のひとりに、ドンはキャシーの姿を認め、キャシーもドンに気付くとその場から逃げ出してしまう。
さて、ハリウッドでは世界初のトーキー長編映画『ジャズ・シンガー』が大成功をおさめ、映画界にトーキーの波が押し寄せる。
そこで急きょ、ドンとリナのサイレント映画も無理やりトーキーとして撮影することが決まるが、リナの声と演技は圧倒的にトーキーに向いていなかった・・・。
サイレントからトーキーへ移り行くハリウッドをロマンスとユーモアで描く傑作ミュージカル!『雨に唄えば』
サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディあふれる傑作ミュージカルで、ハリウッドを代表する名作の一つとして今もなお愛されている作品。
とくにジーン・ケリーが土砂降りの雨の中、歌いながらタップダンスを踊る場面は映画史に残る名シーンとされる。
アメリカ映画協会(AFI)が発表したミュージカル映画ベストの第1位、アメリカ映画主題歌ベスト100の第3位、アメリカ映画ベスト100の第10位、情熱的な映画ベスト100の第16位に選出されている。
気負うことなく見ることのできる楽しい展開、ジーン・ケリーやデビー・レイノルズの二人に加えドナルド・オコナーの軽妙かつ華麗なタップダンスと歌唱は、娯楽としての映画はこういうものだ、と見せつけてくれる。
素材がミュージカルなので、さぞや舞台化も多数あるだろうと思ったら、舞台化は意外と遅く1983年、ロンドンのウエスト・エンドにてトミー・スティール主演のものが皮切りのようだ。
それ以降はもちろん日本も含め、世界各地で上演されている。
映画『雨に唄えば』に話を戻すと、この映画を彩るさまざまな歌曲は、もともと作詞家アーサー・フリードと作曲家ナシオ・ハーブ・ブラウンのコンビの過去のヒット曲を寄せ集めたものだそうだ。
知らずに見ればとてもそうは思えない統一感があるのが素晴らしい。
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