『シャイン』
1996年オーストラリア
原題:Shine
監督:スコット・ヒックス
脚本:ジャン・サーディ
音楽:デヴィッド・ハーシュフィルダー
出演:ジェフリー・ラッシュ
アーミン・ミューラー=スタール
リン・レッドグレイヴ
ジョン・ギールグッド
ノア・テイラー
アレックス・ラファロウィッツ
『シャイン』イントロダクション
デビッド・ヘルフゴット(ジェフリー・ラッシュ)は自分をネコだと思っていた。
何故だかネコだと思っていた。
いつ撫でられるかわからない不幸なネコ。
本当にそう思っていた。
デビッドはキスする。
どのネコにもキスする。
ネコを見ればいつもいつも。
人生は危険だ、危険。
デビッドは昔の自分は違ったと思っている。
そしてもう一度変わらなきゃ、と。
でもヒョウは斑点を変えるか?
人生は死闘だ、死闘だ。
それともパズルの、まだ埋まらない空白?
面白い、面白い。
謎だ、謎だ。
雨の中、デビッドはコートだけを羽織り、くわえたばこで夜の街を彷徨う。
どこからか聞こえてくるピアノの音。
デビッドはそれに向かっていく。
閉店準備に入ったバーの窓ガラス越しにピアノを見つけ、ノック、ノック、ノック。
「閉店だよ」
だがデビッドはノックを続ける。
雨のなか、ノックを続ける・・・。
デビッドはメルボルンに生まれた。
厳格な父ピーター・ヘルフゴットにより、ピアニストになるべく育てられ、町のコンテストでは審査員も驚くほどの才能を示していた。
だが、父親ピーターのデビッドに対する評価はいつも非常に厳しく、デビッドがどんなに努力しても認めてくれようとはしなかった。
ピーター自身子供のころはヴァイオリニストを志していたが、やはり厳格な父により道を閉ざされ、挫折を味わっていた。
そんなピーターは、デビッドを束縛することで愛情表現としていたのだ。
あるとき、コンクールでデビッドの演奏が評価され、イギリスの王立学院に奨学金で留学する話が持ち上がる。
ピーターは烈火のごとく怒りデビッドを行かせまいとするが、デビッドはなかば家出するような形でロンドンに渡るのだった・・・。
オーストラリアの天才ピアニスト、デビッド・ヘルフゴットの波乱に満ちた半生を描く、実話をもとにした感動作!『シャイン』
実在のピアニスト、デビッド・ヘルフゴットの半生を描いた作品。
主演のジェフリー・ラッシュは、第69回アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、第50回英国アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
作中のピアノ演奏はヘルフゴット自身が演じており、手のみのシーンは本人のものである。
またジェフリー・ラッシュ自身も14歳までピアノを習っており、この映画のために練習を再開、見劣りしない演奏の演技を見せている。
映画そのものは世界的に高い評価を受けたが、いっぽうで、公開後に映画を観た家族や親族から、ヘルフゴットの幼少期や父親のピーターについての描写はでっち上げであると抗議の声が上がっている。
とはいえ、デビッドのピアノと共に生きる姿は感動的。
ラスト、ピーターの墓前で父親の死を受け入れ、人生は永遠には続かないけれど、途中で投げ出さないで生きていく、そういいながら伴侶と共に歩き出すシーンには静かに教訓を得る。
クラシックやピアノが好きな方にもたまらない作品だろう。
こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『アルゲリッチ 私こそ、音楽!』世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチの素顔に迫るドキュメンタリー。実娘のステファニーが監督、撮影を手掛け、マルタの知られざる姿を映し出す。
コメント