映画評『ハングリー・ラビット』平凡な高校教師が見知らぬ男に代理殺人を持ち掛けられ、思わぬ窮地に陥るサスペンス・アクション

映写機 映画評
スポンサードリンク

『ハングリー・ラビット』
2011年アメリカ
原題:Seeking Justice
監督:ロジャー:ドナルドソン
脚本:ロバート・タネン
音楽:J・ピーター・ロビンソン
出演:ニコラス・ケイジ
   ジャニュアリー・ジョーンズ
   ガイ・ピアース
   ハロルド・ペリノー
   ジェニファー・カーペンター
   ザンダー・バークレイ

『ハングリー・ラビット』イントロダクション

ウィル・ジェラード(ニコラス・ケイジ)はニューオーリンズで高校教師を務める平凡な男で、妻のローラ(ジャニュアリー・ジョーンズ)と夫婦二人、幸せな毎日を過ごしていた。

ある日の夜、学校での仕事が終わったウィルは、行きつけのチェス・クラブでチェスを楽しむ。

同刻、オーケストラのチェロ奏者のローラは、練習から帰ろうと車に乗り込むところを、強姦に襲われてしまう。

チェス・クラブでは携帯電話の通知をオフにしていたため、クラブが終わって携帯をチェックしたウィルは着信が7件も入っているのに驚き、ローラが収容された病院へ急いだ。

ベッドに寝かされたローラの顔はひどあざだらけで、惨たらしい。

静まり返った夜の病院のロビーで頭を抱え、衝撃を飲み込めずにいるウィルに、そっと近づく男がいた。

その男は自らをサイモン(ガイ・ピアース)と名乗り、ウィルにローラを襲った犯人について話す。

「犯人はレイプの常習犯だ。犯人を警察に突き出しても、DNA鑑定で半年、裁判でそれ以上の月日がかかる。そのあいだ君の妻は事件のことを何度も思い出してしまうだろう。そして犯人も1年もすればまた釈放される。」

意味が分からないウィルにサイモンはささやく。

「我々は警察じゃない。正義をなすための秘密の組織だ。君の代わりに、犯人に制裁を科すことができる」

「どういうことだ」

「殺してやろう」

申し出をいちどは断ろうとするウィルだったが、ローラの悲惨な姿が脳裏にフラッシュバックすると、衝動的にサイモンの話を承諾した。

代理殺人は実行される。

犯人は何者かにより銃殺された。

表向きには自殺として処理された。

そして半年が過ぎ、ウィルとローラは忌まわしい事件を乗り越えつつあった。

そのウィルの前に、あのサイモンがふらりと現れ、ある人物の尾行を指示してきた。

細かく指示を出してくるサイモン。

いぶかしり、半ばいやいやながらその指示に従っていたウィルだったが、ある時サイモンが殺人の実行を迫ってきた・・・。

平凡な高校教師が見知らぬ男に代理殺人を持ち掛けられ、思わぬ窮地に陥るサスペンス・アクション『ハングリー・ラビット』

邦題の『ハングリー・ラビット』は、サイモン率いる組織の合言葉「空腹のうさぎは跳ぶ」から来ている。

平凡な高校教師というにはニコラス・ケイジは個性がありすぎるようにも思うが、それはさておき、自ら正義を標榜する秘密組織に目をつけられた主人公が、巻き込まれ自分も殺人を犯すよう迫られるサスペンス映画だ。

話しはそれだけでは終わらない。

主人公ウィルが殺すように命じられた男は、サイモンによると、陰で児童ポルノを売買するような人間のクズということだった。

その男はウィルとのもみあいの末、意図せずして橋の欄干から落下、車にひかれて死んでしまう。

ウィルが殺したわけではなかったが、ウィルは容疑者として警察に連行されてしまった。

死んだ男は、じつは新聞記者だったことが知らされ、ウィルは混乱する。

そんな警察署内でウィルを助けた警部補がいたが、彼もまた「空腹のうさぎは跳ぶ」と合言葉を使う。

どうやら秘密の組織は思った以上に社会に根深くひそんでいるのがわかる。

サイモンはいったいウィルに何をさせようとしたのか、ウィルはこれからどうなってしまうのか。

そして妻のローラにも静かに組織の手は伸びる。

まさに謎が謎を呼び、先の展開が読めない優れた脚本が味わえる。

案外知られていないが上質な作品だった。

ニコラス・ケイジという人気俳優が主演を務めはしたが、興行収入的には赤字。

ときおりこういった、もったいない作品が隠れているのがハリウッドの懐の深いところ。 

こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『刑事ジョン・ブック/目撃者』殺人現場を目撃してしまったアーミッシュの少年とその母親を守ろうとする刑事の交流と格闘を描くサスペンス

コメント

タイトルとURLをコピーしました