映画評『丹下左膳 百万両の壺』隻眼隻腕のヒーローを豊川悦司がクールに演じる時代劇ホームコメディ

サムライ 映画評
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『丹下左膳 百万両の壺』
2004年エデン
監督:津田登滋
原作:林 不忘
オリジナル脚本:三村伸太郎
脚本:江戸木 純
音楽:大谷 幸
出演:豊川悦司
   和久井映見
   野村宏伸
   麻生久美子
   武井 証

『丹下左膳 百万両の壺』イントロダクション

江戸時代。

一振りの刀を巡って、たった一人で大人数を相手に立ち回った丹下左膳(豊川悦司)。

次々に敵を切り捨てるも、自身右目と右腕を失い、刀も奪われてしまった。

それ以来、左膳は隻眼隻腕の用心棒として、妻お藤(和久井映見)が営む的屋(射的場)で暮らしていた。

さて一方、柳生の里の藩主に伝わる「こけ猿の壺」には、先祖が隠した百万両の軍資金のありかの秘密が込められていたが、藩主の柳生対馬守(金田明夫)は、これを知らず、江戸で道場を開いている弟の源三郎(野村宏伸)の祝言祝いに壺を贈ってしまう。

だが源三郎はこれまた壺の価値に気付かず、回収屋にこの壺を二束三文で売り払ってしまった。

回収屋はこの壺を、自分が住む長屋の隣の子供ちょび安(武井 証)に金魚鉢代わりにやってしまう。

さてさて、左膳は常に何者かに命を狙われており、その夜も立ち回りを演じる。

そのさなか、巻き添えで蕎麦屋の老主人が刺されてしまう。

老主人はちょび安の保護者だった。

老主人はただ一人長屋に残した孫のちょび安を左膳とお藤に託す。

口は悪いが根が善人の二人は、なんだかんだと言いながらもちょび安を引き取ることになる。

むろん、ちょび安はあの壺を持って。

柳生の里からの知らせで、壺の価値を知った源三郎は、それでもおっとり刀で壺の探索に乗り出る。

何の手がかりもないまま、源三郎はお藤の的屋にふらりと立ち寄り、遊ぶようになり、左膳とも意気投合し始めた。

さて、ちょび安と壺はこれからどうなってしまうのか・・・?

隻眼隻腕のヒーローを豊川悦司がクールに演じる時代劇ホームコメディ『丹下左膳 百万両の壺』

昭和10年の『丹下左膳余話 百萬両の壺』という山中貞夫監督、大河内傅次郎主演の傑作娯楽時代劇映画のリメイクが本作『丹下左膳 百万両の壺』だ。

命の危機を救ってくれたお藤の営む矢場で用心棒として暮らす左膳が、孤児となったちょび安を引き取ることに。

最初は快く思っていなかったが、しだいに親子のような情が芽生え始めるようになる。

ところが、ちょび安の壺に莫大な価値があることがわかり、壺を巡る争奪戦に巻き込まれていく、というもの。

隻眼隻腕のヒーロー・丹下左膳を、今回は豊川悦司がクールに好演している。

原作となる映画が大変古いが古典の傑作として名高く、本作もほぼそれを踏襲する形で作られている。

ゆえに、アレンジしたシーンは原作ファンからは不評のようであるが、この作品だけ見てみればさほど文句を言うほどのことでもないと思われる。

互いに悪態をつきながらも人情豊かな江戸の住人の典型のような左膳とお藤の夫婦がしだいにちょび安を溺愛する容易なる様子は見ていてほっこりする。

トヨエツのチャンバラも、目が肥えた人にしてみれば下手かもしれないが、こういったコメディ作品のチャンバラなんだから、左膳が強い、剣豪だ、ということがわかる演出なら、これでいいのではないか。

宣伝等露出が少なかったためか、知名度は低いが、昭和初期のチャンバラヒーロー丹下左膳を現在によみがえらせたことに意味がある。

こういったリメイクは折りを見てはどんどんやってほしい。

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