映画評『ワイルド・バレット』タランティーノもお気に入りだったガンアクション・サスペンス

カチンコ 映画評
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『ワイルド・バレット』
2006年アメリカ
原題:Running Scared
監督:ウェイン・クラマー
主演:ポール・ウォーカー

『ワイルド・バレット』イントロダクション

イタリアン・マフィアのチンピラ構成員ジョーイ(ポール・ウォーカー)は、ボスの息子が警官殺しに使用した一丁のリボルバー拳銃の始末を命じられる。

しかしジョーイはその拳銃を地下室に隠す。

ジョーイの隣にはロシア人の夫妻とその息子オレグ(キャメロン・ブライト)が住んでおり、オレグはジョーイの息子ニッキー(アレックス・ニューベルガー)と仲が良かった。

ニッキーとオレグはジョーイが隠していたリボルバーを見つけてしまう。

飲んだくれで暴力をふるう父親に憎しみを募らせたオレグが、そのリボルバーで自分の父親を撃つという事件を起こしてしまった。

オレグはそもまま銃を持って逃亡。

ジョーイはオレグとリボルバーの行方を追って右往左往する羽目になる。

銃の所在を怪しんだイタリア・マフィア、オレグの父親が所属しているロシアン・マフィア、そこに警察やポン引きの親分、売春婦などが次々に絡んできて、物語は二転三転、ジョーイは壮絶な争いを繰り広げることになる。

『ワイルド・スピード』シリーズではありません

『ワイルド・スピード』シリーズで主演を務めたポール・ウォーカー主演つながりということで、邦画タイトルは安直に『ワイルド~』の名を冠することになったと思われるが、本作『ワイルド・バレット』は『ワイルドスピード』シリーズとは別物。

監督はあのクエンティン・タランティーノからも称賛を受けるウェイン・クラマー。

ガイ・リッチーを彷彿とさせるフィルムのカット、テンポの良さはなかなかの実力派。

よって映画の前評判は上々だったが、製作費千五百万ドルに対して興行収入は938万ドルと全くの不振に終わっている。

上述の通り、リボルバーを持ったまま夜の逃避行するオレグを追う羽目になる主人公のジョーイだが、あっちでニアミス、こっちでニアミス、オレグを見つけたと思ったら、今度は拳銃が行方不明。

ジョーイはイタリア・マフィア、ロシアン・マフィアの両方から追われて針のむしろ状態。

そういった、スピード感たっぷり、次々にひっくりかえる状況にハラハラするシナリオはよくできている。

シナリオ担当は監督のウェイン・クラマー自身だ。

だが冒頭の、血まみれのオレグをジョーイが車に乗せるシーケンスのインサートは、ただ凝ってみただけで不要なのではなかったか。

イントロダクションを混乱させるだけで、あまり親切な構成とは言えない。

また、ストーリーの途中で登場する謎の夫婦のパートも文字通り謎だ。

主人公であるはずのジョーイが絡まないシーケンスなので、特にストーリーには不要である。

ただ、浮いているのに不気味でインパクトが強い。

これだけで一本のサスペンス映画が撮れるのではないかな(笑)

おしなべて悪い出来ではないが、これと言って突出した魅力があるわけでもなく、興行収入が示すように、やはりB級映画。

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