映画評『ロープ』巨匠ヒッチコックが実際に起きた殺人事件をもとに映画化。アパートの一室で繰り広げられる出来事をリアルタイム進行で描くサスペンス

カチンコ 映画評
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『ロープ』
1948年アメリカ
原題:Rope
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:アーサー・ローレンツ
   ベン・ヘクト
原案:ヒューム・クローニン
原作:パトリック・ハミルトン
音楽:デヴィッド・パトルフ
   レオ・F・フォーブスタイン
出演:ジェームズ・スチュワート
   ジョン・ドール
   ファーリー・グレンジャー
   ジョアン・チャンドラー
   セドリック・ハードウィック
   コンスタンス・コリアー
   イディス・エヴァンソン
   ディック・ホーガン
   ダグラス・ディック

『ロープ』イントロダクション

カーテンを閉め切った暗がりのアパートの一室に、男性の末期の悲鳴が上がった。

部屋では、青年が二人して同じ年頃の男をロープで絞殺したのだった。

犯行を犯した二人、とブランドン(ジョン・ドール)とフィリップ(ファーリー・グレンジャー)に殺人の動機は無く、ただ、他人より優れた超人は凡人を殺す権利があるというニーチェの理論を実践したに過ぎなかった。

主導権はブランドンが握っていた。

フィリップは殺人のうしろめたさに不安をブランドンに打ち明けるが、ブランドンはどこ吹く風である。

二人は自分たちが殺した男・・・友人だったデヴィッド(ディック・ホーガン)の遺体を、居間のチェストに詰めた。

そしてその日はこれから、このアパートでパーティーを催す予定になっているのだ。

招いているのは、被害者であるデヴィッドの父親と恋人のジャネット・ウォーカー(ジョアン・チャンドラー)、デヴィッドがジャネットをめぐって争っていた恋敵のケネス・ローレンス(ダグラス・ディック)、ブランドンたちの先制だった大学教師のルパート・カデル(ジェームズ・スチュワート)など。

ブランドンは死体の入ったチェストの上に燭台を飾り付け、パーティーの料理を並べる。

お手伝いのミセス・ウィルソン(イディス・エヴァンソン)が「こんなところに燭台を置いたり、料理を並べるのはふさわしくありませんよ」と片付けようとするが、ブランドンは高揚した口調でうまくミセス・ウィルソンを言いくるめてしまう。

そうして客が一人、二人と現れ、パーティーは始まった。

料理が並んだチェストのなかには死体が眠っているとも知らず、楽しげに料理をよそっては皆に食べさせるブランドン。

蔵書を案内したり、デヴィッドの父親に本をプレゼントするために、デヴィッドの絞殺に使ったロープで本を結んだり、調子に乗っていくブランドンとは反対に、共犯者のフィリップは次第に罪の意識に冷静さを失っていった・・・。

巨匠ヒッチコックが実際に起きた殺人事件をもとに映画化。アパートの一室で繰り広げられる出来事をリアルタイム進行で描くサスペンス『ロープ』

実際に起きた殺人事件をもとに書かれたパトリック・ハミルトンの小説が、最初にあり、それが舞台化され、巨匠アルフレッド・ヒッチコックが映画化した。

アパートの一室で、登場人物が会話劇を繰り広げ、物語がリアルタイムに展開していくサスペンスで、舞台はこのアパートの一室のみという、まさに舞台向きの作品である。

意識しなければ、ストーリーはまるでフィルムを回しっぱなしにしたまま撮影したかのように思われる。

実際には、当時の撮影技術ではフィルムは15分くらいしかもたないため、人物の背中に大寄りして画面を一瞬だけ暗転、そこで次のフィルムにつなげるなどの工夫をこらし、あたかも1時間20分、我々はずっとシームレスに物語を観察しているかのように見せている。

この演出もなかなか見事なので、視聴の際は気にしてみてほしい。

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