映画評『レベッカ』巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督。ダフネ・デュ・モーリアの小説を映画化し、アカデミー賞作品賞を受賞した名作

怪しい家 映画評
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『レベッカ』
1940年アメリカ
原題:Rebecca
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ロバート・E・シャーウッド
   ジョーン・ハリソン
原案:フィリップ・マクドナルド
   マイケル・ホーガン
原作:ダフネ・デュ・モーリア
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:ジョーン・フォンテイン
   ローレンス・オリヴィエ
   ジョージ・サンダース
   ジュディス・アンダーソン

『レベッカ』イントロダクション

「わたし」(ジョーン・フォンテイン)は昨夜、マンダレーへ行く夢をまた見た。

閉ざされた鉄の門の前で「わたし」はただ立ち尽くしていた。

夢のなかではよくあるように、なぜか突然「わたし」は不思議な力により、幽霊のように門をすり抜けた。

屋敷へと続く私道は、昔と変わらず曲がりくねっていた。

しかし先へ進むと、道の様子が変わってくる。

自然が幅を利かせ、生い茂る木々が少しずつ道を覆っていった。

徐々に細くなり、かろうじて続いていく道。

その先に現れたのがマンダレー。

静寂に包まれ、ひっそりと建つ屋敷。

時の流れから隔絶された空間。

月明かりに照らされ、窓から明かりが漏れているように見えた。

やがて月は雲に覆われた。

雲間に見えつ隠れつする美しい月が、幻想を呼び起こす。

人けのない屋敷。

かつての華やかさは消えてしまった。

マンダレーにはもう二度と戻れない。

でも時々、夢の中でふと立ち返る。

南フランスから始まった、あの不思議な日々に――。

「わたし」は金持ちのホッパー夫人(フローレンス・ベイツ)の付き人として、南フランスのモンテカルロを訪れていた。

そこで偶然、同じホテルに滞在する英国貴族、マキシム・ド・ウインター(ローレンス・オリヴィエ)と出会い、二人は恋に落ちる。

マキシムは1年前に、ヨットの事故で前妻レベッカを失っていた。

イギリスのマキシムの大邸宅マンダレーでは、多くの使用人がいる中、邸宅を取り仕切るダンヴァース夫人()がかつての完璧な女主人レベッカを盲信し、「わたし」を受け入れようとしない。

そればかりか、しだいに「わたし」に精神的圧力をかけ、「わたし」は窓から身投げをしようとまでしてしまう・・・。

巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督。ダフネ・デュ・モーリアの小説を映画化し、アカデミー賞作品賞を受賞した名作『レベッカ』

イギリスで名を挙げていたアルフレッド・ヒッチコック監督が、アメリカ・ハリウッドで最初に手掛けた作品となる。

原作はダフネ・デュ・モーリアの小説で、ジョーン・フォンテインとローレンス・オリヴィエが主役として出演のほか、ジュディス・アンダーソンがダンヴァース夫人役で怪演をみせる。

また第13回アカデミー賞で最優秀作品賞並びに撮影賞(白黒部門)の二部門を獲得した。

タイトルにもなっている『レベッカ』は、主人公「わたし」の夫マキシムの前妻で、物語中すでに亡くなっており、関係者から話は出るが実際には姿を見せることなない。

だが、マキシムの苦悩やダンヴァース夫人の盲信により、不思議な影響力のあるキャラクターとなって、「わたし」にのしかかってくるのだ。

下手に回想シーンでレベッカの姿を描いたりしないぶん、余計に視聴者側の想像が膨らみ、それがサスペンスを駆り立てる。

後半でレベッカの死の真相が明らかになってくるが、若干蛇足、もしくは練りが足りない感がぬぐえない。

まあそれは原作がそうなのだろうが、クライマックスのダンヴァース夫人の暴挙は見せ場としてかっちり演出されており、それがまたラストシーンから映画冒頭のシーンにつながっていくのは、さすがヒッチコックといったところ。

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