映画評『女王蜂』凝りに凝ったストーリーと豪華出演陣の市川崑+石坂浩二の金田一シリーズ第4弾

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『女王蜂』
1978年東宝
原作:横溝正史
監督:市川崑
脚本:日高真也
   桂千穂
   市川崑
音楽:田辺信一
出演:石坂浩二
   高峰三枝子
   司葉子
   中井貴恵
   沖雅也
   加藤武
   大滝秀治
   神山繁
   伴淳三郎
   三木のり平
   岸惠子
   仲代達矢

『女王蜂』イントロダクション

昭和7年、伊豆天城の月琴の里に、京都から歴史探索に来ていた日下部仁志(佐々木勝彦)と速水銀蔵(仲代達矢)の二人の学生は、当地の良家・大道寺家に2週間近く世話になった。

そのあいだで仁志は大道寺家の娘・琴絵(萩尾みどり)と恋仲になり、琴絵は仁志の子供を身籠ってしまう。

三か月後、仁志は再び大道寺家を訪れるが、大道寺家の一室で何者かに頭を砕かれ死んでしまう。

だがその死体は山間の崖の下から発見され、警察には転落死として処理される。

昭和11年。

今度は大道寺家を速水銀蔵が訪問し、琴絵に求婚する。

既に琴絵には仁志との間にできた娘・智子が生まれており、銀蔵は大道家の婿養子として迎え入れられた。

だが琴絵は、智子が5歳になると病で他界する。

昭和27年。

智子(中井貴恵)が19歳の誕生日を迎えた日のこと。

大道寺家の時計台で、遊佐三郎(石田信之)という青年が歯車に体をバラバラに引き裂かれた変死体として発見される。

現場に遭遇した智子は、その場で多門連太郎(沖雅也)という男に出会うも、連太郎は自分が犯人ではないことを智子に告げると、姿を消してしまう。

死亡した遊佐の他、赤根崎嘉文(中島久之)と駒井泰次郎(佐々木剛)の計3人が同時に智子に求婚しており、また、智子は19歳になったら月琴の里の屋敷を引き払い、地元の京都に移ることになっていた。

智子は銀蔵から、なぜ時計台に行ったのかと問われると、何者かから自分の身の上について教える、と知らされた手紙を受け取っていたことを明かす。

その手紙は直筆ではなく、新聞の活字を切り貼りしたものだった。

そしてその場に、私立探偵・金田一耕助(石坂浩二)があらわれる。

金田一は京都の加納弁護士(大滝秀治)から、19年前の仁志の不審死についての調査を依頼されていた・・・。

凝りに凝ったストーリーと豪華出演陣の市川崑+石坂浩二の金田一シリーズ第4弾『女王蜂』

角川映画の『犬上家の一族』、『悪魔の手毬歌』、『獄門島』に続く金田一シリーズ第4弾であり、大型新人として中井貴恵をヒロインに迎え、過去3作の犯人役女優(高峰三枝子、岸惠子、司洋子)を出演させ、仲代達也も出演、市川崑+石坂浩二の金田一シリーズとしては随一の豪華キャストが売りだ。

ストーリーは大道寺家の娘2代にわたる因縁の殺人事件と、その真相を追う金田一耕助に、警察や大道寺家につかえる家庭教師、大道寺家の娘に群がる男たちを巡って、複雑な様相を示す。

謎解きも二段落ちになっており、最後まで目が離せない。

いつも通りといえばいつも通りなのだが、金田一は連続して起きる殺人事件を止めることはできず、後追いするばかりだ。

真相を最後に解いて説明するのが彼の役割である。

とは言え今回の連続殺人は、金田一のあずかり知らぬところで起こり、すべて事前にはノーヒントなのだからしょうがないといえばしょうがない。

一族に伝わる三種の神器や、老婆の歌う手毬歌の歌詞など出てこないのだから。

今回は男女の恋情の激しいもつれが事件を引き起こしていくのである。

さて今作も市川崑お得意のテンポの良いフィルム運びは健在。

モノクロにしてショッキングさを引き立てる演出やレイアウトでみせる人物の心理描写など、お手本となるところも多い。

『犬上家の一族』でやりたいことはやりつくした、と市川崑は言ったというが、なかなかどうして、まだまだチャレンジングなフィルムだ。

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