映画評『ピースメーカー』テロリストに奪われた核弾頭20発を取り返せ!

カチンコ 映画評
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『ピースメーカー』
1997年アメリカ
原題:The Peacemaker
監督:ミミ・レダー
脚本:マイケル・シファー
音楽:ハンス・ジマー
出演:ジョージ・クルーニー
   ニコール・キッドマン

『ピースメーカー』イントロダクション

1991年にアメリカとソ連との間で結ばれた軍縮条約であるSTARTに基づき、ロシアから核弾頭10発が移送されていた。

それらがテロリストにより強奪され、一発がウラル山脈を走る列車の衝突と共に爆発。

核爆発を確認したアメリカは、ケリー博士(ニコール・キッドマン)ら専門家を招集。

ケリー博士は状況分析からテロ活動の可能性が大きいことを示す。

同じく連絡将校として召集された国際テロの専門家デヴォー大佐(ジョージ・クルーニー)は、独自の情報網を使って、核弾頭輸送に使われたトラックの足取りがウイーンにあることをつかむ。

ウイーンにむかったデヴォーとケリーはロシアの高官と秘密裏に接触し、手がかりとなるシューマッハというドイツ人商人と会う。

デヴォーはシューマッハを襲い、彼のパソコンから情報を強奪。

その帰途に二人は襲撃を受ける。

ウイーン市街での壮絶なカーチェイスの末、デヴォーとケリーは辛くも脱出。

そして「44E」という謎の暗号にたどり着く。

そのころボスニアでは、外交官のデューサン(マーセル・ユース)が国連に派遣されることが決定する。

いっぽうアメリカでは、監視衛星を使って核弾頭を輸送するトラックの映像を手に入れることに成功する。

現場に急行するデヴォー。

三機のヘリでトラックを追うが、ロシア国境を越えたため、イランの国境警備からミサイル攻撃を受けてしまう・・・。

テロリストに奪われた核弾頭20発を取り返せ!『ピースメーカー』

国際的な核兵器テロを描くために、スロヴァキア、マケドニア、ニューヨークと世界各地を主人公が飛び回る。

さながら謎追いは『ダヴィンチ・コード』のようであるが、各地で細い糸をじっくり探るようにヒントを見つけていく『ダヴィンチ・コード』と対比して、この『ピースメーカー』は力でグイグイ手がかりを手繰り寄せていく印象。

なにせジョージ・クルーニー演じるデヴォー大佐が、有能である以上に手が速いのである。

交渉が不備に終わりそうになったら瞬時に暴力に訴える。

テロリストは姿を見せたら問答無用で撃つ。

現場には自分からいちばんに乗り込む。

美しいニコール・キッドマン演じるケリー博士も優秀であるという役回りなのだが、デヴォー大佐のスピード感と、湾岸戦争帰りという倫理観のずれが独特なキャラクターで面白い。

作品はドリームワークスの第一回作品。

監督に起用されたミミ・レダーは大人気テレビシリーズ『ER 緊急救命室』でも演出を務めており、ジョージ・クルーニー(ダグラス・ロス役で同ドラマにレギュラー出演)とは息が合っているのかもしれない。

彼女はこれが劇場長編映画のデビュー作になっている。

脚本は『クリムゾン・タイド』のマイケル・シーファーで国際犯罪サスペンスは手慣れたもの。

音楽は今やハリウッドには欠かせない作曲家ハンス・ジマーで、緊迫感のある劇版を書き上げた。

ストーリー自体はシンプルなもので、核弾頭をもって逃げるテロリスト、追う主人公の構図。

まくしたてるようなデヴォー大佐とケリー博士のセリフの応酬や、世界各地を転戦する舞台の転換など、次々に変わる状況を楽しむジェットコースター・サスペンスとでも言ったところで、ビールを片手に迫力を楽しむとよい映画。

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