『パットン大戦車軍団』
1970年アメリカ
原題:Patton
監督:フランクリン・J・シャフナー
脚本:フランシス・フォード・コッポラ
エドマンド・H・ノース
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:ジョージ・C・スコット
カール・マルデン
スティーヴン・ヤング
マイケル・ストロング
『パットン大戦車軍団』イントロダクション
(映画冒頭、パットン将軍の演説)
「忘れるな
国のために命を捨てても、戦争には勝てん
勝つには、敵兵に国のため命を捨てさせるのだ
諸君
アメリカが参戦を望んでいないというのは大ウソだ
アメリカ人は昔から戦いが好きだ
本物のアメリカ人は皆、戦いの刺激を愛す
子どもは、ビー玉名人や速いランナー、野球選手、強いボクサーを崇拝する
アメリカ人は勝者を好み敗者を容赦しない
皆、常に勝とうとする
負けて笑うやつなどろくでなしだ
われわれは負けたことがない
戦争も必ず勝つ
なぜならアメリカ人は負けを考えることすら嫌う
さて、軍隊というのはひとつのチームだ
共に食い、眠り、戦う
個人など二の次だ
個人の権利がどうのと新聞書いてるやつは、戦争の実際がまるでわかっとらん
我々には最良の食糧、装備、最高の熱意と世界最高の兵員がある
つまり、我々と戦う連中は実に哀れなわけだな
我々は敵を撃ち、腸(はらわた)を切り刻んで、戦車の潤滑油に使ってやるのだ
ドイツ兵どもを殺しまくってやれ
諸君も心配していよう
戦場で臆病風に吹かれそうだと
大丈夫だ
諸君は役目を果たせる
ナチこそが我々の敵だ
突き進め
血を流させろ
腹を撃ち抜け
さっきまで生きていた親友の顔が血みどろにされたときは、
わかるな?
もうひとつ
陣地を死守するなど要らぬことだ
それはドイツ兵に任せとけ
常に前進あるのみ
一時たりともとどまるな
敵をたたけ
敵の鼻をつかみケツをけとばせ
目にものを見せて
徹底的に痛めつけるのだ
さて
諸君は帰国したらこう言えるだろう
喜びたまえ
30年後、暖炉の前にいる
ひざには孫
孫が“第二次大戦中にじいちゃんは何してた?”
少なくとも“ルイジアナで肥料を作ってた”と言わんでもすむ
よし、クソ野郎ども
わかったな?
諸君を率いて戦うことはいかなる時も私の誇りだ
以上だ」
(翻訳:森本 務)
第2次世界大戦の猛将パットン将軍の半生をドラマチックに描く戦争映画!『パットン大戦車軍団』
映画冒頭のスピーチを聞けばわかるように、パットン将軍はその過激な言動で時にはナチスを蹴散らし、時にはマスコミにやり玉に挙げられ指令から解任される風雲児(老将だが)だった。
映画では第二軍団司令官への着任から始まり、シチリア島攻略で第7軍団司令官となるも、現場でいわゆる戦争ストレスで前線に出られなくなった兵士を殴って問題になり、解任される。
だがその評価(アメリカ軍だけでなく、ナチスからも警戒されていた)ゆえノルマンディー上陸作戦時には総司令官アイゼンハワーの意を受け第三軍団の司令官として復帰。
当初は囮(おとり)として考えられていたが、その電撃的な進行スピードは味方から待ったがかかるほど。
バルジの戦いでは戦史に残る功績を上げ、映画は1945年10月の第15軍団司令官への異動までを描いている。
パットンは有能で勇猛果敢ではあるが、ナポレオン時代の戦争の在り方を懐かしむ老兵でもある。
その頑固さゆえに仲間からも煙たがられる。
時代に合わなくなった軍人の姿を、映画は、けしてイケイケどんどんの戦争映画ではなく、一人の男の栄枯盛衰として描く。
ラストのパットン将軍のモノローグはこうだ。
「1000年の長きにわたり凱旋のローマ軍人は
騒々しい行進で勝利の喜びを祝った
列には、楽隊のほか、征服した地の珍獣が連なり
荷車には宝物や奪った武器が載る
征服者は凱旋の戦車に乗り
その前を捕虜が行く
時折、征服者の子が戦車に同乗するか、引き馬に乗った
奴隷が背後に立ち、王冠をもって、征服者にささやく
栄光はすべからく消ゆるもの・・・」
アカデミー賞でも作品賞をはじめ7部門を受賞、パットンを演じたジョージ・C・スコットは主演男優賞を受賞し、「史上最高の演技の一つ」と称賛された。
脚本にあのフランシス・フォード・コッポラが参加しているところもまた興味深い。
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