映画評『ペイルライダー』金の採掘場を狙う一味と謎の流れ者の対決!イーストウッドの傑作西部劇!

夕焼けとカウボーイ 映画評
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『ペイルライダー』
1985年アメリカ
原題:Pale Rider
監督:クリント・イーストウッド
脚本:マイケル・バトラー
   デニス・シュラック
音楽:レニー・ニーハウス
出演:クリント・イーストウッド
   マイケル・モリアーティ
   キャリー・スノッドグレス
   シドニー・ペニー
   クリストファー・ペン
   リチャード・ダイサート

『ペイルライダー』イントロダクション

1880年代のカリフォルニア。

カーボン峡谷と呼ばれる谷あいの村で、人々は細々と流れる川で砂金を探していた。

その村は馬に乗った荒くれ者の集団に襲撃を受ける。

豚も飼い犬も殺され、ボロボロになった村で悲嘆にくれる村人たち。

荒くれ者たちは、別の谷で強引な水力採掘で谷を削り、地形を変え景観を損ねては金を採取し、町を起こした名士コイ・ラフッド(リチャード・ダイサート)の手下たちで、カーボン峡谷での採掘権を狙い、村人を追い出そうと嫌がらせをしているのだった。

村の娘ミーガン(シドニー・ペニー)は神へ救済の祈りをささげる。

少女は来世での救いではなく、現世での救いを求めた。

冬を迎えようとしていた季節の変わり目、村のリーダー格ハル・バレット(マイケル・モリアーティ)は買い出しに街に出かける。

嫌がらせでめちゃくちゃにされた村の再建の資材を買い込んだハルは、ラフッド一味の4人にからまれ、暴行を受ける。

そこに、ふらりと流れ者(クリント・イーストウッド)が現れ、ラフッド一味の4人をあっという間にのしてしまった。

ハルはその流れ者に感謝し、自分の家に招待する。

体を拭く流れ者の背中を見たハルは、そこに6つの銃痕があるのを認める。

未亡人でハルの婚約者のサラ(キャリー・スノッドグレス)とその娘ミーガンは流れ者に対して当初不信感を抱くが、流れ者が牧師の格好で現れると、警戒を解いて歓迎する。

ミーガンは、助けを求めた自分の祈りに応えて神が牧師を遣わしたものだと考え、牧師に思いを寄せる。

いっぽう、町での騒動を聞いたラフッドの息子ジョシュ(クリストファー・ペン)は、牧師を追い出そうと巨漢の手下クラブ(リチャード・キール)を連れて村に乗り込んでくる。

だが、クラブも牧師に撃退されてしまった。

牧師の出現に力を得た村人たちは、やがてラフッドに立ち向かおうと団結し始めるが・・・。

金の採掘場を狙う一味と謎の流れ者の対決!イーストウッドの傑作西部劇!『ペイルライダー』

西部劇もそのブームが過ぎ去った1980年代の中盤に、西部劇を総決算するかのようにクリント・イーストウッドが主演・監督をつとめた傑作西部劇がこの『ペイルライダー』だ。

主人公の「牧師」は、かつてイーストウッドが主役を務めた「ドル箱三部作」、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』『夕日のガンマン』『続・夕日のガンマン』と同じく、特定の名前がない。

正体不明の流れ者なのだ。

その背中には6つの銃痕があり、死線を超えてきた人物であることは想像できる。

町の名士ラフッドがこの牧師に対抗するために雇った保安官がストックバーン(ジョン・ラッセル)だが、このストックバーンの風ぼうも「ドル箱三部作」でイーストウッドが対峙したガンマンに似せているところが、またニクい。

ふらりと現れたガンマンが、弱き親子を助けて最後には去っていくところは、西部劇の名作『シェーン』(1953年)を彷彿とさせる。

また、ときおり牧師を超自然の声と思しき声が呼ぶ演出がある。

牧師の存在が、あるいは精霊か何かの類なのかもしれない。

そんな演出はイーストウッド自身が1973年に監督・主演した西部劇『荒野のストレンジャー』の延長線上にあるように思える。

イーストウッドが次に西部劇を撮るのは、『許されざる者』(1992年)だ。

この『許されざる者』の主人公の設定やストーリーはいわゆる西部劇の定石を外しまくったところが面白い作品だ。

『ペイルライダー』は、やや独特な雰囲気を持ちつつも、西部劇の王道としてイーストウッドが撮った最後の西部劇なのである。

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