『女王陛下の007』
1969年イギリス・アメリカ
監督:ピーター・ハント
脚本:ウォルフ・マンコウィッツ
リチャード・メイボーム
原作:イアン・フレミング
音楽:ジョン・バリー
出演:ジョージ・レーゼンビー
ダイアナ・リグ
テリー・サバラス
ガブリエル・フェルゼッティ
イルゼ・ステパット
『女王陛下の007』イントロダクション
とある海岸、車を止めたボンド(ジョージ・レーゼンビー)は波際に一人のはかなげな女性の姿を見つける。
しばらく見ていると、女性は海に入っていく。
あわてて女性を助けるボンドだが、直後に暴漢に襲われる。
暴漢のひとりは退治したものの、助けた女性は何も言わず赤い車に乗り去っていった。
秘密犯罪組織スペクターの幹部であり宿敵のブロフェルドを追う「ベッドラム作戦」を遂行中のボンドは、ポルトガルで偶然トレーシー(ダイアナ・リグ)とカジノで知り合う。
ボンドは向こう見ずともいえる大胆な振る舞いをするトレーシーに興味を抱く。
一夜を共にした二人だったが、朝にはトレーシーの姿は消えていた。
ホテルを出ようとするボンドを、今度は3人組の悪漢が取り巻く。
3人組に車に乗せられ、連れて行かれた先は、犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコ(ガブリエル・フェルゼッティ)のオフィスだった。
ドラコは、なんとトレーシーの父親だった。
一人娘トレーシーは母親を失った後、放埓な暮らしを続けており、さまざまな国の男とスキャンダルを起こし、イタリアの伯爵と結婚するもその伯爵とも死別、トレーシーの素行はますます悪くなっていったという。
トレーシーのセラピーとして、ドラコはボンドにトレーシーと結婚してくれるように頼む。
結婚の誘いは断るボンドだが、ボンドはドラコからブロフェルドの手がかりを得ようとする。
だがドラコは結婚の話に応じるなら、手がかりを与えるという。
いったんロンドンに戻ったボンドだったが、M(バーナード・リー)は2年間成果を得られなかったとして「ベッドラム作戦」から解任を言い渡す。
カッとなったボンドはイギリス諜報部員を辞任しようとするが、マネーペニー(ロイス・マクスウェル)の機転により、二週間の休暇となる。
その間、ボンドは幾度かのトレーシーとのつきあいを経て、二人はたがいに引かれていく。
そうしてボンドはドラコの情報からついにブロフェルドの情報を得る。
ブロフェルドはアルプスの一山頂に構えたアレルギーの研究所で謎の計画を企てていた・・・。
2代目ボンド、ジョージ・レーゼンビー登場!シリーズ第6作目!『女王陛下の007』(ネタバレ有)
007シリーズの第6作目は、ショーン・コネリーに代わってジェームズ・ボンド役にジョージ・レーゼンビーが起用された。
そしてレーゼンビーにとっては、これが最初で最後のボンド役になる。
この『女王陛下の007』は設定的にものちの007作品に引き継がれる大きな要素があって、それは今回のボンドガールであり、ヒロインのテレサの存在である。
劇中さまざまな冒険を繰り広げた二人はついに結婚する。
だが、直後に、ブロフェルドによってテレサが殺されてしまうのである。
劇中でメインのボンドガールが死亡するのはシリーズでこれが最初である。
そして次回作『ダイヤモンドは永遠に』(1971年)ではオープニングでボンドがブロフェルドを追い詰め、敵討ちをするところから始まる。
また『私を愛したスパイ』(1977年)では、スパイのアニヤにこのことに触れられてボンドが少々腹を立てるシーン、『ユア・アイズ・オンリー』(1981年)ではテレサの墓参りをするシーン、『消されたライセンス』(1989年)ではフェリックス・ライターの妻がボンドに「あなたはもうじき結婚できる」と言ったため、その場の雰囲気が険悪になるというシーンがある。
さてジョージ・レーゼンビーだが前任のショーン・コネリーより9歳も若く、はつらつとしたアクションを見せてくれる。
雪のアルプス山中でのスキー・チェイス・シーンは迫力満点だ。
格闘シーンもコネリー・ボンドよりもアクションではキレがあるように見える。
残念ながらレーゼンビーはショーン・コネリー・ボンドのイメージを覆すことができず、この一作でボンド役は終わりになってしまうが、もし続投していたら、次作『ダイヤモンドは永遠に』の印象も違ったものになっていたであろう。
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