映画評『アイガー北壁』若き登山家たちが挑む前人未到の“死の壁”!彼らを待ち受ける凄絶な運命とは?

アルプス アイガー 映画評
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『アイガー北壁』
2008年ドイツ・オーストリア・スイス
原題:Nordwand
監督:フィリップ・シュテルツル
脚本:フィリップ・シュテルツル
   クリストフ・ジルバー
   ルーペスト・ヘニング
   ヨハネス・ナーバー
音楽:クリスティアン・コロノヴィッツ
出演:ベンノ・フユルマン
   フロリアン・ルーカス
   ヨハンナ・ヴォカレク
   ウルリッヒ・トゥクル

『アイガー北壁』イントロダクション

1936年、ベルリンオリンピックも直前に控えた夏。

ナチスは国威高揚のため、前人未到のアイガー北壁にドイツ人が初登頂することを強く望み、成功者にはオリンピックの金メダル授与が約束される。

ドイツ人で山岳猟兵のトニー・クルツ(ベンノ・フユルマン)とアンディ・ヒンターシュトイサー(フロリアン・ルーカス)の二人はこのところ頭角を現し始めた若手山岳家であり、彼らも、世間の盛り上がりに戸惑いながらも、アイガー北壁に挑むことにする。

アイガー北壁。

3970メートルの断崖絶壁は、これまで多くの登山家の挑戦を無残に撥ねつけていた。

7月14日、トニーたち以外にも、オーストリア他各国から挑戦者たちが集い、アイガー北壁に挑もうとしていた。

また、初登頂の瞬間を目にしようと、多くの観光客や見物人、報道関係者がふもとのホテルに集まって好奇の目を注いでいる。

その中に、トニーの元恋人で、今はベルリンで新聞記者をやっていルイーゼ(ヨハンナ・ヴォカレク)の姿もあった。

7月18日、空は晴れわたり、絶好のコンディションと判断したトニーとアンディ他登山家たちは、いっせいに登攀を開始する。

トニーとアンディーのあとを、オーストリア隊のヴィリー・アンゲラー(ジーモン・シュヴァルツ)とエディ・ライナー(ゲオルク・フリードリヒ)が追うように登ってくる。

だが、オーストリア隊の二人は、あまりにもトニーとアンディのドイツ隊の直下に間をあけずに登っていたため、落石を避けきれず、ヴィリーが大けがを負ってしまう。

その夜、3100メートル地点で4人は最初のビバークをとる。

ふもとのホテルから見るとこの4人の登攀は快進撃に見えたが、ヴィリーの怪我は思ったよりひどく、これ以上の無理は命にかかわると思われた。

だがヴィリーはかたくなに登攀の続行を望み、アンディもここから降りるより一度頂上まで登り、そこから逆側を降りたほうが確実ではないかと提案する。

翌7月19日。

夕方を迎えるころには4人は3350メートルの高度まで達したが、すでにヴィリーの容体は、これ以上の登攀は無理なところまで悪化していた。

そして2回目のビバークを経て、4人は登攀中止を決心する。

しかし天候は急速に悪化、山を下りることすら困難な状況になってきた・・・。

若き登山家たちが挑む前人未到の“死の壁”!彼らを待ち受ける凄絶な運命とは?『アイガー北壁』

1936年のベルリンオリンピックの盛り上がりを受け、前人未到、誰も登攀に成功したことのないアルプスのアイガー北壁に挑む若き登山家たちが、この“死の壁”に挑むが、彼らを待ち受けるのは凄絶な運命だった。

山岳ファンの方ならピンとくるだろうが、世界的にも有名な難所、アイガー北壁の初登攀は1938年だ。

つまりこの『アイガー北壁』は、偉大なるチャレンジの失敗譚を描いている。

ほぼ垂直と言ってよい断崖を、ほんのわずかな手掛かり・足がかりを伝って登っていく主人公たちの様子を、さまざまなアングルでカメラは迫る。

どうやって撮影したのだろうか。

迫真の画面作りは、観ているだけのこちらも、股のあいだが縮こまってしまうようだ。

高所恐怖症の人は大画面では見ていられないのではないか。

前述の1938年アイガー初登頂成功は、オーストリア人(当時はドイツに併合されていたためドイツの功績あつかいされる)ハインリッヒ・ハラーらによって達成される。

アイガーを描いた映画ではないが、ハラーを主人公とした映画に、アイガー登攀後、彼のチベットで過ごした7年間を描いたブラッド・ピット主演『セブン・イヤーズ・イン・チベット』がある。

また、アイガーを舞台とした映画として、クリント・イーストウッドの山岳スパイアクション『アイガー・サンクション』がある。

こちらもなかなかアイガーの厳しさをよく描いている。

遠くから見る絶景の美しさに比して、人を寄せ付けぬ険しい自然は凄絶なドラマを生む。

こちらの作品もどうぞ!
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