『ニコライとアレクサンドラ』
1971年イギリス・アメリカ
原題:Nicholas and Alexandra
監督:フランクリン・J・シャフナー
脚本:ジェームズ・ゴールドマン
原作:ロバート・K・マッシー
音楽:リチャード・ロドニー・ベネット
出演:ローレンス・オリヴィエ
マイケル・ジェイストン
ジャネット・サズマン
トム・ベイカー
リン・フレデリック
『ニコライとアレクサンドラ』イントロダクション
1904年、ロシア。
ニコライ2世(マイケル・ジェイストン)とアレクサンドラ皇后(ジャネット・サズマン)のあいだに、念願の皇太子アレクセイが誕生する。
だがアレクセイは先天性の血友病のため、少しでも怪我をすると大量に出血してしまう体であった。
おりしもロシアの時局は日本との戦争のさなかにあった。
旅順は日本軍に囲まれており、軍部はニコライ2世に戦争を終わらせるよう進言するも、不敗の国を受け継いだというニコライ2世のプライドがそれを妨げる。
戦費を賄うための重税にロシアの労働者はあえいでおり、不満分子が着々と革命の火種を起こそうとしていた。
学生たちも革命を叫ぶ。
とある貴族のパーティーで、ニコライ2世とアレクサンドラはどんな病気も直してしまうという祈祷僧グレゴリー・ラスプーチンと邂逅する。
ラスプーチンは巧妙にアレクサンドラに取り入る。
いよいよ労働者たちの運動は盛り上がり、ニコライ2世に直接惨状を訴える平和的な行進が実施される。
その行進がサンクトペテルブルク宮殿までたどり着いた時、政府当局によって動員された軍隊が発砲、のちに「血の日曜日事件」と呼ばれる惨事に発展する。
人々は姿を現さないニコライ2世にますます不満を募らせるが、当のニコライは事件のことを知ったのは事件のあとだった。
そしてニコライ2世とその家族が貴族の安寧に浸っている裏で、革命家のレーニンがいよいよ歴史の表舞台に立とうとしていた・・・。
ロシア・ロマノフ王朝最後の日々を、フランクリン・J・シャフナー監督が壮大なスケールで描く歴史スペクタクル!『ニコライとアレクサンドラ』
『猿の惑星』(1968年)のフランクリン・J・シャフナー監督が、ロマノフ王朝最後の日々を壮大なスケールで描く。
原作はロバート・K・マッシーの『ニコライ二世とアレクサンドラ皇后 ロシア最後の皇帝一家の悲劇』で、ロマノフ王朝最後の皇子アレクセイの誕生から、ロシア革命によりロマノフ家が処刑されるその時までを活写。
歴史の教科書にも載る事件「日露戦争」や「血の日曜日事件」、「ロシア革命」を背景に、歴史の多いなうねりに飲み込まれるロマノフ家最後の皇帝ニコライ2世とその皇后アレクサンドラの人間ドラマを見ることができる。
とくに当時の貴族の豪華な衣装の再現や、たいへん多くのエキストラを用いた皇帝の謁見シーン、ロシア兵の出兵シーン、冬のサンクトペテルブルク宮殿での「血の日曜日事件」ほか、舞台美術も見事で、第44回アカデミー賞では衣装デザイン賞と美術賞を受賞している。
いっぽうで前述のとおり、実に激しい歴史的事件の渦中にあった中での人間ドラマを描こうとしたためか、どうも映画トータルとしては散文的な印象で、くわえて尺が3時間もあることで、退屈な印象はぬぐえない。
冗長なシーンが散見されるため、現代の感覚だと少し間延びして見えるかもしれない。
逆に見れば、ニコライ2世の人間らしいドラマがしっかりと書かれた脚本ではあると思うのだが・・・。
このへんは映画が撮られた「時代」が生んだ作風というしかない。
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