『NEXT-ネクスト-』
2007年アメリカ
原題:Next
監督:リー・タマホリ
脚本:ゲイリー・ゴールドマン
ジョナサン・ヘンズリー
ポール・バーンバウム
原作:フィリップ・K・ディック『ゴールデン・マン』
音楽:マーク・アイシャム
出演:ニコラス・ケイジ
ジュリアン・ムーア
ジェシカ・ビール
トーマス・クレッチマン
トリー・キトルズ
ホセ・ズニーガ
ジム・ビーヴァ―
マイケル・トルッコ
ピーター・フォーク
『NEXT-ネクスト-』イントロダクション
クリス(ニコラス・ケイジ)はフランク・キャデラックと名乗り、ラスベガスのカジノでマジシャンとして日々の生活を送っていた。
その日もステージに立ち、鳩を腕から飛び立たせたり、客をステージに上げ、ちょっとした未来予測でパラパラとした拍手をもらう。
こういうショーはよく見るだろう。
読心術、マジック、イリュージョン・・・。
ところがその中に、ごく稀にだが、時々、ショーに見せかけた本物のマジックが存在する。
それを見慣れたショーの安いトリックに仕立て、観客に見せている。
とはいえ、こういった水曜夜のステージのギャラなど知れている。
だからクリスはステージが終わると、酒とたばこを手に、カジノに繰り出しギャンブルをする。
勝負の相手は、ディーラーやマシンだけだ。
そして大当たりや大穴は、決して狙わない。
目立たずに稼ぐためだ。
イカサマと疑われないように。
クリスは神ではないし、みんなの未来が見えるわけではない。
ただ、2分先の自分の未来がクリスには見えるのだった。
クリスは一見、よくいる芸人のようにふるまっていたが、その夜の客席にはクリスに注目する人物がいた。
FBI捜査官のフェリス(ジュリアン・ムーア)だ。
そしてクリスの特殊な勝ち方に、カジノの監視人も気が付いてしまう。
2分間の未来予知を使ってクリスは用心棒たちをかわし、カジノから立ち去ろうとするが、偶然換金所で強盗にあう未来を見てしまい、機を先じてその強盗の男を未遂のうちに倒してしまう。
その際、銃を取り上げたため、クリスのほうが追われる身となってしまった。
カジノからうまく逃げたクリスだったが、そこに、クリスの特殊能力を確信したフェリスが現れる。
フェリスはクリスに、潜伏したテロリストを探し出すために捜査への協力を求めるが、面倒に巻き込まれたくないクリスはフェリスの依頼を拒否、逃亡する・・・。
ニコラス・ケイジ主演!フィリップ・K・ディック原作による、タイムリミット・アクション超大作!『NEXT-ネクスト-』
2分先の自分の未来が見えるという特殊能力を持った主人公が、核爆弾テロリストの捜査に巻き込まれるタイムリミット・アクション。
監督は『007/ダイ・アナザー・デイ』(2002年)のリー・タマホリが務めた。
原作者のフリップ・K・ディックは主に1960年代から70年代に活躍したアメリカのSF作家で、彼ほどハリウッド映画界に貢献している原作家もそういない。
有名なところだと、あの『ブレードランナー』(1982年)、『トータル・リコール』(1990年)、『マイノリティ・リポート』(2002年)など。
ほかにも、ディックの『高い城の男』などはテレビドラマ化もされている。
ディックの小説は形而上学的・哲学的なテーマを扱うことが多く、時代が変わっても普遍的に通用する題材が多いため、映画化された作品が必ずしも原作の通りに映像化されるわけではないが、アイデアはそのままにアップデートされたヴィジュアルにすることで、今でも通用する作品になるのだ。
SF映画を作りたくてネタに困ったらディックに原作を求めると良いくらいだ。
ただし料理の仕方は監督や出演陣によるわけで、本作『NEXT-ネクスト-』のように、「材料はいいんだけど、なんだかこじんまりとした印象だなあ」となることも、当然ある。
2分先の未来を視聴者にどう見せるか、がんばってスペクタクルシーンを入れるが、基本的にその危機を避ける、というのが主人公の行動原理なので、銃撃シーンも、追いかけっこも、核爆発も、主人公の能力が発動すると無かったことになるのだ。
なんだか見ていてシューンとしてしまうではないか。
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