『マイ・フェア・レディ』
1964年アメリカ
原題:My Fair Lady
監督:ジョージ・キューカー
脚本:アラン・ジェイ・ラーナー
音楽:アンドレ・プレヴィン
出演:オードリー・ヘプバーン
レックス・ハリソン
スタンリー・ホロウェイ
ウィルフリッド・ハイド=ホワイト
グラディス・クーパー
ジェレミー・ブレット
セオドア・ビゲル
『マイ・フェア・レディ』イントロダクション
まだまだ階級社会の文化が色濃く残る時代のイギリス。
ある晩のこと、紳士淑女が集まるパーティも終わり、めいめいが帰途に着こうとタクシーの馬車を拾っては乗り込んでいく。
ふと雨が降り出し、多くの人たちが会場の建物の入り口で足止めを食うことになった。
そこで下町育ちのイライザ・ドゥーリトル(オードリー・ヘプバーン)が花売りをしていた。
そのイライザの話す言葉を、柱の陰でノートに書き写す人物が一人。
その男、音声学の研究者であるヘンリー・ヒギンズ教授(レックス・ハリソン)は、周囲の人々をその話しかたで出身地を次々に当てていく。
それはまるでマジックのようだった。
ひどい訛りのイライザに、調子に乗って上機嫌のヒギンズ教授は「このままの話し方では一生ドブ暮らしだが、私が仕込めば半年で社交界デビューさせられる!」
その場ではイライザは本気にしなかったが、よりよい暮らしを夢見るイライザは、翌日ヒギンズ教授を訪問する。
しかし強気のイライザは「生徒になってあげてもいい」と上から目線。
昨夜のことなどすっかり忘れていたヒギンズは「帰りたまえ」と突き放すが、パーティ会場で意気投合していた同じく音声学の研究者ヒュー・ピカリング大佐(ウィルフリッド・ハイド=ホワイト)は面白がって、ヒギンズ教授に、イライザのレッスン料は自自分が出すから、彼女が半年で社交界デビューできるかどうか賭けをしよう、と持ち掛ける。
自分に絶対の自信を持つヒギンズ教授は、それは面白いとこの賭けに乗り、イライザを立派な淑女に仕立て上げるために計画を立てる。
イライザといえば、ヒギンズ教授の高慢な態度に腹を立てて、さすがに帰ろうとするが、ここに居れば毎日チョコレート食べ放題、という誘惑に負け、レッスンを受けることにする。
こうしてイライザは、ヒギンズ教授の家に住み込みで、その日から猛特訓を受けることになった。
だがイライザの訛りはひどく、ABCの発音から矯正する特訓の日々が続く・・・。
数々の名曲と鮮やかな衣装、様式美にあふれる美術に彩られ、アカデミー作品賞、監督賞、編集賞、美術賞など8部門に輝く傑作ミュージカル!『マイ・フェア・レディ』
オードリー・ヘプバーンの代表作の一つに数えられる、ミュージカル・コメディ・映画。
もとはブロードウェイで大ヒットした同名のミュージカル作品。
いわゆるイケてない女性を、男が一人前の淑女に育て上げていくというストーリーは『プリティ・ウーマン』の元祖でもある。
本作はコメディではあるが、まだ貴族階級が存在するイギリスの格差社会を背景に、人間の感情の繊細さ、男女間の対立、階級社会の問題点など、深いテーマにもメスを入れた哲学的な作品ともなっている。
ミュージカルなので登場人物たちは歌を歌うわけだが、オードリー・ヘプバーンはその一部をマーニ・ニクソンという歌手が吹き替えている。
このマーニ・ニクソン、数多くのミュージカル映画で女優の歌を吹きかえる「最強のゴースト・シンガー」として有名。
数々の名曲と、鮮やかな衣装、様式美にあふれる美術に彩られた画面は今見てもおしゃれ。
同年のアカデミー賞では最優秀作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞、衣装デザイン賞、美術賞、編集賞、録音賞の8部門を受賞。
ノミネートにとどまったが、助演男優賞、助演女優賞、脚本賞、編集賞にもノミネートされるなど、いまでも傑作ミュージカルとして映画史にその名を残す。
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