『ムトゥ 踊るマハラジャ』
1995年インド
原題:Muthu
監督:K・S・ラヴィクマール
脚本:K・S・ラヴィクマール
音楽:A・R・ラフマーン
出演:ラジニカーント
ミーナ
サラット・バーブ
ラーダー・ラヴィ
センディル
ヴァディヴェール
『ムトゥ 踊るマハラジャ』イントロダクション
大地主ラージャ(サラット・バーブ)の館で馬車の御者を務めるムトゥ(ラジニカーント)は、誠実な人柄と機転の速さ、そして腕っ節の強さで主人のラージャからの信頼も篤く、使用人たちのあいだでも尊敬を集めていた。
ラージャの母親の大奥様は、ラージャがなかなか結婚しないのが悩みの種。
腹黒のラージャの伯父アンバラ(ラーダー・ラヴィ)は自分の娘パドミニ(スバーシュリー)をラージャと結婚させ、その莫大な財産を横取りしようと企んでいる。
そんなラージャも、芝居には目がない。
ある日もラージャは芝居に出かけ、それにつき合わされる形でムトゥも芝居を見ることになった。
だがムトゥは芝居には全く興味がなく、途中でくしゃみをくり返したり、居眠りをして看板女優のランガ(ミーナ)を怒らせてしまう。
いっぽう、ラージャはランガの美しさに一目ぼれしてしまい、ランガと結婚すると決意。
館に帰ると、ラージャはランガの名前は出さずに「結婚することにした」と宣言する。
その言葉に、パドミニとの結婚を決めたと勘違いした大奥様はじめ館の使用人たちは大喜び、みんなで踊りだす。
数日後、ラージャとムトゥは巡業で移動中のランガの一座と出くわすが、一座は乗っていた車が故障し、困っていた。
ラージャはランガたちを馬車に乗せて巡業先に送り届けようとする。
その途中、ラージャはランガに求婚し、「承諾ならば屋敷に来てほしい」と告げる。
だが、ランガはそんなラージャの言葉を聞いていなかった。
巡業先に着いた一行。
ランガたちはお礼にとラージャの前で芝居を披露するが、そこに借金取りが現れ、ランガを連れ去ろうとする。
ラージャの命令でムトゥは借金取りたちと大乱闘、ランガを助ける。
これがきっかけで、ムトゥとランガは相思相愛になってしまい、結婚まで誓い合う・・・。
日本にインドブームを巻き起こした、インパクト抜群のロマンティック・コメディ・ミュージカル映画!『ムトゥ 踊るマハラジャ』
オーソドックスな恋愛コメディに、インパクト抜群な長尺のダンス・ミュージカルシーンを織り交ぜ、インド映画独特の色彩感覚でスクリーンに我々を引き込み、日本に一大インドブームを巻き起こした映画。
売れなかったら人知れぬカルト映画となったであろうが、この映画のスタイルがアジア圏のあちこちで模倣・踏襲されているのを見ると、やはり売れるべくして売れたのだろう。
なにせダンスや歌が魅力的である。
ハリウッド的な西洋ミュージカルとは明らかに一線を画す。
ひたすら明るく、歌詞の意味が分からずとも不思議な昂揚感・・・トリップでもいおうか・・・を味わうことのできる音楽。
これはサントラも売れるだろうと思ったら、案の定ヒットしていた。
ラジニカーントの格闘シーンもどこか懐かしさを感じる。
本格的なカンフー的振付というより、派手に後付された効果音(「ビシッ」とか「バシッ」という大げさな打撃音)やカットインされるスローモーションなど、日本の70年代~80年代の刑事ドラマのようなアクションだからかもしれない。
いや、日本の70年代、80年代のアクションもその時代より少し前のブルース・リーやジャッキー・チェンの功夫アクションの影響を受けているから、『ムトゥ』のアクションシーンも、アジアをぐるっと回って受け継がれたものかもしれない。
とにかく『ムトゥ 踊るマハラジャ』は楽しい。
世界の映画の面白いところを貪欲に取り入れつつ、ストーリーはわかりやすく、なによりインドの独自性を前面に出した歌とダンスの世界は一見の価値がある。
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