『ミネソタ無頼』
1964年イタリア・スペイン・フランス
原題:MINNESOTA CLAY
監督:セルジオ・コルブッチ
主演:キャメロン・ミッチェル
『ミネソタ無頼』あらすじ
無実の罪で20年ものあいだ投獄されていたミネソタ・クレイ(キャメロン・ミッチェル)。
クレイは視力をだんだんと失う病におかされていた。
クレイは自分の無実を証明できる唯一の男フォックス(ジョルジュ・リヴィエール)を探すために脱獄する。
故郷の宿場町でフォックスと再会を果たすクレイだが、フォックスは保安官の地位に納まって町を牛耳っていた。
そしてクレイは、フォックスこそが自分を罠にはめたことを知り、復讐を誓う。
町で美しく成長した自分の娘ナンシー(ディアナ・マーティン)と出会うクレイ。
だが、ナンシーはクレイを父親だと気づかない。
ナンシーは母親を亡くしたあと、クレイの親友ジョナサンの牧場で暮らしていた。
フォックスは町の支配権をめぐって、メキシコ人のオルティス一派と争っていた。
そこにつけ込もうとオルティスのアジトに単身もぐりこむクレイだが、オルティスがジョナサンの牧場を襲おうと計画していることを知り、脱出。
オルティス一派に襲われるジョナサンの牧場。
クレイたちはジョナサンの家屋に立てこもり、反撃を試みる。
ジョナサンとナンシーを逃がし、一人オルティス達を足止めするクレイだが、家に火をつけられてしまい、炎にまかれる。
そこにフォックス一党が駆けつけ・・・。
監督は『続・荒野の用心棒』で名をはせたセルジオ・コルブッチ

コルブッチ監督はセルジオ・レオーネと並んでマカロニ・ウエスタンでは有名な監督であるが、レオーネほど花道を歩んでおらず、カルトな人気である。
その作風はワイルド。
『ミネソタ無頼』でも主人公に馬から飛び降りてのライフル発砲や、走っている馬を何頭も転ばせるなど派手なアクションを撮っている。
本作の見どころは敵味方入り混じる構成の面白さ。
主人公クレイの敵フォックスに加え、フォックスと敵対するオルティスがいることで、三つ巴のドラマが生まれる。
クレイはフォックスとも因縁があるし、物語冒頭で行きがかり上オルティスの情婦を助けることになる。
この情婦がまた悪賢いのだ。
オルティスを裏切ったり、クレイを誘惑したり、フォックスにも言い寄ったり・・・。
ヒロインポジションはクレイの娘ナンシーなのだろうが、実質的にいちばん魅力的な女性キャラはこの情婦。
またクライマックスのクレイとフォックスの対決も注目シーンの一つ。
症状が悪化し、ほぼ目が見えなくなってしまったクレイ。
だがそれを逆に利用し、夜の闇の中でフォックスの一味を次々と打倒していく。
クレイは優れた聴覚を持っており、悪党どもの立てる物音で居場所を察知し、銃で撃ち抜いていくのだ。
まるで座頭市である。
マカロニ・ウエスタンの筆頭『荒野の用心棒』が黒澤明の傑作時代劇『用心棒』を翻案して作られたように、マカロニ・ウエスタンには日本映画の影響がよく見られる。
『ミネソタ無頼』が座頭市の影響を受けたとされる資料はないが、十中八九、意識していたのではないか。
ミネソタは地名じゃなかった

今作のタイトルに出てくる「ミネソタ」は主人公の名前。
思わず「地名じゃないんかい!」とツッコミを入れてしまった。
西部劇でミネソタと聞いたら、やはりミネソタ州のほうを思い浮かべてしまうじゃないですか。
『ミネソタ無頼』で舞台となる宿場町は、フォックス率いるアメリカ人の町。
町の支配権を奪おうとするオルティス一派はどうやらメキシコ人であることがセリフや衣装からうかがえる。
また登場する軍隊も、アメリカの南軍っぽい。
ということは設定的にはアメリカ南部かメキシコ北部、あるいは国境付近ということになる。
で、ミネソタ州はどこにあるかというと、アメリカ中西部、カナダと故郷を接する北部である。
どこからミネソタ来たんか~い!
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