映画評『マーニー』盗みを重ねる美女と、彼女を救おうとする男性を描く傑作サスペンス

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『マーニー』
1964年アメリカ
原題:Marnie
監督:アルフレッド・ヒッチコック
原作:ウィンストン・グレアム
脚本:ジェイ・プレッソン・アレン
音楽:バーナード・ハーマン
出演:ティッピー・ヘドレン
   ショーン・コネリー

『マーニー』イントロダクション

ある会計事務所社長のシドニー・ストラット(マーティン・ガベル)は憤激して状況を刑事に話していた。

会社の金庫から9967ドルを金庫から根こそぎ盗まれたのだ。

ストラットは「犯人の名前はマリオン・ホランド、ブルーの瞳にウェーブのある黒髪、容姿がよく歯も美しい」と容疑者の特徴を語る。

盗難と同時に勤務して4カ月の事務員の女性が姿を消していた。

ストラットがあらましを刑事に説明しているところに、一人の紳士が顔を出す。

マーク・ラトランド(ショーン・コネリー)、ストラットの上客だ。

マークも以前、容疑者の女を目にしていた。

その女(ティッピー・ヘドレン)はそのころ、大量の衣服の買い物をしてホテルの一室に入っていた。

名刺入れから「マリオン・ホランド」名義の社会保障カードを抜きだすと、手鏡の中蓋を外す。

するとそこには何枚もの別名義の社会保障カードが入っていた。

女はその中から、今度は「マーガレット・エドガー」名義のカードを選び、名刺入れに入れた。

次に女は洗面台で髪を洗うと、黒い染料が落ち、女は金髪になった。

それから「マーガレット」は不要になった過去の「マリオン」の荷物を駅のレンタルボックスに入れると、鍵を側溝に落として捨てるのだった。

「マーガレット」はとあるホテルに現れる。

そこでは彼女は「マーガレット・エドガー」として既に知られており、常連として扱われる。

そこから「マーガレット」は馬場に行き、愛馬に乗って駆ける。

今度はとある港町に「マーガレット」は行く。

そこは彼女の実家だった。

母親から「マーニー」と呼ばれる女は、母には自分がとある富豪の秘書として働いていると嘘をついていた・・・。

盗みを重ねる美女と、彼女を救おうとする男性を描く傑作サスペンス『マーニー』

ヒロインの「マーニー」は盗癖があるほか、幼いころのトラウマから極端に赤色を恐れ、男性嫌いだというキャラクター設定がある。

ストラットの会計事務所の次にマーニーが潜り込んだのがやり手の若社長マーク・ラトランドのラトランド社だったのだが、面接のさいマーニーはある意味、マークに見初められる。

物語の前半は盗みを働き、身分を偽るマーニーのサスペンスで、後半はこのマークが何とかしてマーニーを救おうとする。

ラトランド社の金庫から大金を盗むことにマーニーは成功するも、それはマークにばれていた。

マークは盗まれた分の金額を補てんしてマーニーの犯行がばれないようにしつつも、偽名のマーニーと結婚し、四六時中彼女を見張ることで、何とかマーニーの心の傷をいやそうと奮闘するのだ。

マーニーについて、赤い色に以上に反応するシーン、何度も悪夢にうなされるシーンや、過剰にマークを避けようとするシーンなど、幼少時のトラウマの原因をにおわせる描写が幾たびも描かれる。

一方でマーニーは馬には全幅の愛情を注いでおり、こういった主人公の振れ幅の大きなキャラクター付けが、映画をドラマティックなものにしている。

マーニーが金庫から大金を盗むシーンや、マーニーのトラウマの原因の謎解きへのくだりなど、ヒッチコック一流のサスペンスも見どころ。

劇中何度も登場する印象的なテーマ・ミュージックを作曲したバーナード・ハーマンとは、ヒッチコックはこれが最後のコンビ作となった。

マーニーの相手役として、当時『007』シリーズでブイブイ言わせていたショーン・コネリーも、相変わらずの甘いマスクで重要な役どころを演じている。

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