映画評『刑事マディガン』ドン・シーゲル監督の演出が冴える、拳銃を奪われ、犯人を追う執念の刑事を描くハードボイルド・アクション

映写機 映画評
スポンサードリンク

『刑事マディガン』
1968年アメリカ
原題:Madigan
監督:ドン・シーゲル
脚本:ヘンリー・シムーン
   エイブラハム・ポロンスキー
原作:リチャード・ドハティ「The Commissioner」
音楽:ドン・コスタ
出演:リチャード・ウィドマーク
   ヘンリー・フォンダ
   インガー・スティーヴンス
   ハリー・ガーディノ
   ジェームズ・ホイットモア
   スーザン・クラーク

『刑事マディガン』イントロダクション

ニューヨーク市警察の刑事ダニエル・マディガン(リチャード・ウィドマーク)は、相棒のロッコ・ボナーロ(ハリー・ガーディノ)と、とあるホテルの一室の扉の前にいた。

これからその部屋に乗り込もうというのだ。

令状はないが、二人は入り口のドアを蹴破り、部屋にはいる。

そこには果たして標的のギャング、バーニー・ベネシュ(スティーヴ・イーナット)が愛人とベッドでしけこんでいた。

ベネシュに服を着せ、連行しようとするマディガンとボナーロだったが、ベネシュの愛人の裸に気を取られた一瞬のスキだった。

ベネシュが形勢逆転、二人の刑事の銃を奪い、まんまと逃走してしまう。

マディガンとボナーロは、仕方なく所属分署に戻り、状況を報告する。

上司のラッセル本部長(ヘンリー・フォンダ)は、ふたりに72時間以内に拳銃を取り戻し、事件を解決するよう命じる。

仕事第一なうえに、この事件で家庭をかえりみる余裕がなくなったマディガンは、妻から不満をぶちまけられるが、どうしようもない。

また、ラッセル本部長も、頭を悩ませていた。

長年の友人であり、信頼していた部下のケイン警部(ジェームズ・ホイットモア)に汚職の疑惑が持ち上がったのだ。

しかもラッセルは別件で、自分自身が上流階級の人妻と不倫関係にあり、そのことでも悩んでいた。

マディガンは妻のためにパーティに出たりと気を使うが、そうこうしているうち、、ついにベネシュにより事件が引き起こされる。

警官二人が射殺されたのだ。

使われた銃は、マディガンが奪われたものだった・・・。

ドン・シーゲル監督の演出が冴える、拳銃を奪われ、犯人を追う執念の刑事を描くハードボイルド・アクション『刑事マディガン』

ニューヨーク、スパニッシュ・ハーレムの刑事マディガンは、相棒とギャングのベネシュのねぐらに踏み込むが、油断したすきに逃げられ、拳銃を奪われてしまう。

マディガンは、凶悪なベネシュを72時間以内に逮捕せよと厳命を受けるが・・・。

家庭生活に悩みながらも犯人を追う刑事を演じるのは、名優リチャード・ウィドマーク。

『刑事マディガン』はこの映画のほかにテレビシリーズも制作されたが、その主人公マディガン役もリチャード・ウィドマークが演じた。

監督は、のちに『ダーティハリー』(1971年)を撮影することになるドン・シーゲル。

1960年代にはすでにテレビドラマの演出も多く手掛けていたドン・シーゲルは、『刑事マディガン』で手慣れたきびきびした演出を見せる。

そのころユニヴァーサル社が売り出そうとしていたクリント・イーストウッドと、ドン・シーゲルは『マンハッタン無宿』(1968年)で運命の出会いを果たす。

『刑事マディガン』では、ドン・シーゲル監督がのちの作品にも見せる、スピーディなチェイスやガンアクションの手法がすでに見て取れる。

銃を奪われ、72時間という時間制限付きの展開なのだが、主人公マディガンが家庭事情で悩んだり、どうにもとってつけたようなラッセル本部長の不倫問題の描写があったりするが、おそらくこれは原作由来なのだろう。

原作のタイトルが「The Commissioner」、「本部長」だからだ。

本来の主人公は本部長で、警察署を舞台にした群像劇、そのうちの一人がマディガンだったのではないかと推察する。

そう考えると、本部長役にヘンリー・フォンダというビッグ・ネームが起用されているのもうなずける。

こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『マンハッタン無宿』イーストウッドとドン・シーゲルの初タッグ

コメント

タイトルとURLをコピーしました