映画評『そして父になる』是枝裕和監督が福山雅治を主演に起用し、子供を取り違えられた夫婦と家族の葛藤を描いたヒューマン・ドラマ

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『そして父になる』
2013年ギャガ
英題:Like Father, Like Son
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
出演:福山雅治
   尾野真千子
   真木よう子
   リリー・フランキー
   二宮慶多
   黄升炫
   ピエール瀧
   田中哲司
   國村隼
   井浦新
   樹木希林
   夏八木勲

『そして父になる』イントロダクション

野々宮良多(福山雅治)は大手ゼネコンで再開発プロジェクトを手掛けるエリートの建築家。

妻のみどり(尾野真千子)と6歳になる息子の慶多(二宮慶多)と幸せな家庭を築いていた。

慶多は市立の小学校を受験し、面接官の「どちらににていらっしゃいますか?」「夏休みは何をして過ごしましたか?」などの質問に、学習塾で習った通りの答えでそつなく合格する。

ある日、慶多が生まれた群馬の病院から、大事な知らせがあるといって呼び出される良多とみどり。

斎木という夫婦の息子が小学校進学に際して受けた血液検査で両親と血液型が一致しなかったことから調査した結果、出生時に斎木家のこどもと野々宮家のこどもが取り違えられていたことが発覚する。

良多たちの実の息子は、斎木家の琉晴(黄升炫)として育てられていた。

慶多と琉晴の二人の誕生日は同じ7月28日と一致しており、良多とみどりは衝撃を隠しきれない。

突然良多を襲った混乱に、良多はみどりを責める。

みどりの田舎の病院で生むことを反対していたこと、なんで分からなかったのか、と。

取り違えられたもう一組の家族、斎木雄大(リリー・フランキー)とゆかり(真木よう子)の夫妻は、群馬で小さな電気屋を営んでおり、三人の子持ちだった。

斎木夫婦と対面した良多とみどりは、「子どもの将来のためにも、結論を急いだほうがいい」という病院の提案から、交流を開始する。

結論、・・・つまり、慶多と琉晴を交換し、血縁通りにする、ということだ。

良多は学生時代からの友人の弁護士に相談し、病院を相手取って裁判を起こす。

その一方で良多の上司(國村隼)は良多に、「二人とも引き取るというのはどうだ」と提案する。

そうして野々宮家と斎木家は、互いの息子を交換で泊まらせてみるところからはじめることにした。

良多は慶多に「これは慶多が強くなるための“ミッション”なんだ」と説明する。

慶多と琉晴、まったく異なる家庭環境で過ごすことになる子供たちも、戸惑いは隠せなかった・・・。

是枝裕和監督が福山雅治を主演に起用し、子供を取り違えられた夫婦と家族の葛藤を描いたヒューマン・ドラマ『そして父になる』

カンヌの常連、是枝裕和監督が父親役初挑戦の福山雅治を主演に起用した作品で、病院で身分の息子を散り違えられ、6年後にその事実を知らされた父親とその妻の葛藤を描いたヒューマンドラマ。

福山雅治演じる野々宮良多とその家族はエリートで、妻と子の三人暮らし、一人息子は大事にしかしきびしく躾けられ育てられている。

いっぽう対になる家族はリリー・フランキー演じる斎木とその家族で、こちらは貧乏ながらもおおらかな5人家族で、三人兄弟は決して上品とは言えないが、のびのびと育てられている。

その家族の長男どうしが取り違えられていたことが判明し、野々宮夫妻は困惑・葛藤する。

はたして息子を血縁に従って取り替えるべきなのか? 今まで6年間過ごしてきた息子への愛は? 新しい息子を愛せるのか?

子供たちを取り替えての生活を試してみても、心のすれ違いに苦しむ姿を、それぞれの役者がみごとに表現している。

事件が起きた物語冒頭から、どうオチをつけるのかが気になり、アート系ヒューマンドラマながらも、エンタメのように最後まで惹きつけられる。

第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した。

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