映画評『アラビアのロレンス』砂漠に魅せられたロレンスの波乱の半生を壮大なスケールと映像美で描いた不朽の名作!

砂漠 映画評
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『アラビアのロレンス』
1962年イギリス・アメリカ
原題:Lawrence of Arabia
監督:デヴィッド・リーン
脚本:ロバート・ボルト
   マイケル・ウィルソン
音楽:モーリス・ジャール
出演:ピーター・オトゥール
   アレック・ギネス
   アンソニー・クイン

『アラビアのロレンス』イントロダクション

1935年5月13日。

ある青年将校がオートバイで走行中、自転車を避けようとして道路を飛び出し死亡する。

ドーセット州モートンの教会で行われた彼の葬儀には多くの人が参列し、銅像も建てられた。

彼の名はトマス・エドワード・ロレンス。

取材の新聞記者が参列者に、個人について尋ねると、「素晴らしい戦績を上げたが、彼についてはよく知らない」「詩人で学者で偉大な戦士だった」「自己顕示欲の激しい恥知らず」と評価は分かれていた。

時はさかのぼり、1916年10月。

イギリス陸軍エジプト基地勤務のT.E.ロレンス(ピーター・オトゥール)少尉は地図製作課で働いていたが、一風変わった男として知られていた。

アラビア語に堪能でアラブ文化に詳しいロレンスは、アラブの王子、ハーシム家のファイサル(アレック・ギネス)に接触、イギリスへの協力を取り付ける工作任務を命じられる。

ファイサル王子はオスマン帝国からの独立闘争を指揮するマッカ(メッカのある州)のカリフであり、家族で砂漠に分散して暮らすアラビアの民の中でも有力者である。

ロレンスはベドウィンのガイドを一人雇って砂漠に乗り出す。

はじめはなれなかったラクダの乗り方も、次第にマスターする。

道中、井戸に到着し、休憩していると、遠く蜃気楼の中から一人の男が現れる。

脅えたベドウィンのガイドが銃を構えたところ、ガイドは銃殺される。

蜃気楼の中から現れた男がライフルで撃ったのだ。

その男はハリト族のアリ(オマー・シャリフ)と名乗り、井戸の所有者だといった。

井戸の水をかってに飲んだから殺したのだと。

だがアリはロレンスは殺さず、代わりの案内役を買って出る。

しかしロレンスはこれをきっぱり断ると、一人で出発、ファイサルのもとへ向かう。

ロレンスがヤンブーのアラブ人基地に到着すると、基地はオスマン帝国の襲撃を受けていた。

ファイサル王子の指揮もむなしくアラブ人は散り散りに逃げてしまい、反撃すらおぼつかなかった。

このファイサル王子に面会を果たしたロレンスは、独立闘争への援助を申し出る。

そしてオスマン帝国が占領している港湾都市アカバへの内陸からの電撃奇襲作戦を立案する。

ロレンスをはじめとするアラブ人50人の砂漠をわたる強行軍が始まった・・・。

砂漠に魅せられたロレンスの波乱の半生を壮大なスケールと映像美で描いた不朽の名作!『アラビアのロレンス』

第1次大戦中、ドイツと結んで中近東の支配を狙うオスマン帝国からアラブを守るため、反乱(独立闘争)を指導し、アラブの民から英雄とうたわれた英国軍人トマス・エドワード・ロレンス。

砂漠に魅せられたロレンスの波乱に満ちた半生が、雄大なスケールと映像美、美しい旋律の音楽で描かれるデヴィッド・リーン監督の映画史上不朽の名作。

アカデミー作品賞、監督賞、撮影賞、美術・装置賞、音響賞、編集賞、作曲賞を獲得している。

単なる英雄ではない、夢と現実とのはざまで苦悩した青年の光と影を描いている。

アラブの独立のために尽力したように描かれているが、その実、英国軍人として、英国のためになる作戦行動を行っていたという。

この時代はイギリスが、対アラブ、対オスマン帝国、そしてユダヤ人に対して三枚舌外交を行っており、現代にいたるまでこのとき生じた問題は解決されず、こじれたままになっている。

世界史が好きな方には、近現代史で習ったことのある問題だ。

その歴史の中に象徴的に物語られる一人の英国人は、本人が望んだか望まなかったかはわからないが、英国の悪手のなかで、英雄的に祭り上げられているのだ。

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