映画評『伊賀忍法帖』山田風太郎のバイオレンス&エロスの忍者映画

サムライ 映画評
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『伊賀忍法帖』
1982年角川・東映
原作:山田風太郎
監督:斎藤光正
脚本:小川英
音楽:横田年昭
出演:真田広之
   渡辺典子
   千葉真一

『伊賀忍法帖』イントロダクション

世は戦国の時代の真っただ中。

当時の古書の何冊かに「果心居士(かしんこじ)」という名前が残っている。

鳥のように空を飛んだかと思えば、死者をもよみがえらせたという。

その男の目的がいったい何であるのかは、今も謎とされている。

大和の国の戦国大名、弾正久秀(中尾彬)は三吉義興(松橋登)の妻・右京太夫(渡辺典子)に横恋慕しており、どうにかして彼女の気を引こうとたくらんでいた。

そんな弾正のまえに、果心居士(成田三樹夫)があらわれ、弾正にある提案をする。

それは、処女が花を散らすときに流す涙を集めて「惚れ薬」をつくるということだった。

果心居士は5人の忍法僧を弾正に貸し与え、たくらみが動き出す。

伊賀の里。

忍法の修行に励む二人の若き男女の姿があった。

男は城太郎(真田広之)、女は篝火(渡辺典子)。

二人は将来を誓い合う仲であったが、篝火は5人の忍法僧に拉致されてしまう。

篝火は右京太夫とうり二つだった。

篝火と右京太夫は、じつは足利幕府の姫が生んだ双子だったのだ。

「惚れ薬」をつくるため、5人の忍法僧の淫らな手が篝火の手に伸びようとするその時、篝火は自らの首をはねて自害するのだったが・・・。

山田風太郎原作のバイオレンス&エロスの忍者映画『伊賀忍法帖』

山田風太郎のバイオレンス&エロスの忍法帖シリーズを角川が映画化。

ジャパン・アクション・クラブ(JAC)と千葉真一の体を張ったアクションが大迫力の忍者映画だ。

人の首がはねられて血が噴き出したり、女性の裸体ををしっかり見せたりしているが、当時は今みたいな年齢制限がなかったので小学生でもドキドキしながら見ることができた。

けっこうおおらかな時代だったものである。

さて山田風太郎の忍者ものは、敵に忍術使いのみならず、妖術使いが出てくるのは当たり前。

破天荒さが売りではあるが、時代背景などの設定は実はしっかりしている。

今回悪役の弾正も、右京太夫の夫・三吉義興も歴史上の人物だ。

こういうのを知らなくても十分楽しめるのだが、知っているとなお楽しい。

山田風太郎原作で一番売れた忍法帖ものといえば、『魔界転生』だろう。

『魔界転生』は元のタイトルは『おぼろ忍法帖』で、何度もリメイクされたり、漫画化されている。

角川が1981年にタイトルを『魔界転生』として映画化し、このヒットを受けて翌年製作されたのが本作『伊賀忍法帖』だ。

製作前に「角川映画大型新人女優コンテスト」が開催されて、優勝した渡辺典子がヒロインとしてデビューする。

渡辺典子はこの『伊賀忍法帖』で篝火、鬼火、右京太夫の三役をひとりでつとめることになる。

主役は真田広之。

真田広之は千葉真一主催のジャパンアクションクラブで鍛えた体で、本作でもスタントなしのアクションを次々とこなして、アクションスターとして魅了してくれる。

『伊賀忍法帖』は同時上映された『汚れた英雄』とともに、劇場公開と同時にビデオ発売が行われた。

当時の角川春樹社長は、今でいうマルチメディア展開としてテレビ放映、ビデオ販売、関連商品など栄華の2次使用、3次使用を見据えた先見の明があったが、さすがに今現在でも劇場公開と同時のビデオ発売は定着していない。

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