映画評『私は告白する』殺人事件の真相を知りながらも、聖職者のため犯人を明かせず苦悩する神父を描く巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の異色サスペンス!

映写機 映画評
スポンサードリンク

『私は告白する』
1953年アメリカ
原題:I Confess
監督:アルフレッド・ヒッチコック
脚本:ウィリアム・アーチボルド
   ジョーン・タボリ
原作:ポール・アンセルム『Nos Deux Consciences』
出演:モンゴメリー・クリフト
   アン・バクスター
   カール・マルデン
   O・E・ハッセ
   ドリー・ハース
   ロジャー・ダン
   チャールズ・アンドレ
   ジル・ペルティエ
   ブライアン・エイハーン
   オヴィラ・レガーレ

『私は告白する』イントロダクション

カナダ、ケベックの夜の街で、一人の男が部屋で殺される。

犯行現場から立ち去る姿は、法衣に身を包んだ一人の男だった。

犯人は暗がりまで足早に移動すると、来ていた法衣を脱いで胸元に抱きかかえる。

男はそして、まっすぐカトリックの教会に向かうと、礼拝堂に入っていく。

物音に気が付いて神父のローガン(モンゴメリー・クリフト)が礼拝堂に確認しに行くと、暗がりで縮こまる人影があった。

下男のオットー・ケラー(O・E・ハッセ)だった。

オットーは脅えており、ローガン神父は彼の告白を聞くことにする。

オットーは、自分はいましがた殺人を犯した、というのだった。

悪徳弁護士のヴィレット(オヴィラ・レガーレ)のところでも庭師として働いていたオットーは、その貧しさからヴィレットの金を盗もうとして見つかり、抵抗するヴィレットを手にかけたのだった。

ローガン神父への告白ののち、オットーは妻のアルマ(ドリー・ハース)にも殺人を犯したこと、ローガン神父に告白したことを告げる。

アルマはローガン神父が警察に知らせるに違いないと心配するが、オットーはその心配はない、カトリックの神父は懺悔を秘匿する義務がある、と言ってアルマを安心させようとする。

翌朝、何食わぬ顔でオットーはヴィレットの家を訪れ、死んだヴィレットの第一発見者となる。

警察の捜査が始まった。

夜のヴィレットの家から怪しい男が出てくるのを見たという二人にの少女の証言で、犯人は法衣をまとっていたことがわかり、ローガン神父が容疑者とみなされる。

警察はローガン神父からその夜のアリバイを聞こうとするが、ローガン神父はこれを拒んだ。

というのも、ローガン神父はその時、ある女性と会っており、彼女に迷惑が及ぶことを恐れたからだった。

その女性とは、国会議員の妻ルース・グランドフォート(アン・バクスター)で、ローガンが僧籍に入る前、二人は恋仲だったのだ。

そして二人が夜あっていたのは、偶然にもヴィレットがかかわっていた・・・。

殺人事件の真相を知りながらも、聖職者のため犯人を明かせず苦悩する神父を描く巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督の異色サスペンス!『私は告白する』

強盗犯人から告白を受けた神父が、自分に容疑がかかりながらも、戒律によって真犯人を明かすことができずに追い詰められていく姿を描いた作品。

原作はポール・アンセルムによる戯曲『Nos Deux Consciences(私たちの2つの良心)』で、1902年初演。

監督のアルフレッド・ヒッチコック自身が幼少期カトリックの学校で教育を受けており、告解の守秘義務とそれを守る神父の描写はなかなかに生々しいものがある。

舞台がカナダ、というのもヒッチコック作品としては珍しい。

警察が捜査の一端としてずかずかと個人のプライベートに入り込み、万人の前で明かして回るのも時代が時代ゆえか。

主人公の神父と元恋人の過去のくだりは、よく考えなくても「事件と関係なくない?」と思ってしまったが、現行犯逮捕でもないかぎり、状況証拠よりも当人たちの証言のほうが重視される時代なのだ。


こちらの作品もどうぞ!
≫映画評『ダイヤルMを廻せ!』浮気した妻を殺害しよとするものの思わぬ方向に進む犯罪計画を巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督がスリリングに描く傑作サスペンス!

コメント

タイトルとURLをコピーしました