『おしゃれ泥棒』
1966年アメリカ
原題:How to Steal a Million
監督:ウィリアム・ワイラー
脚本:ハリー・カーニッツ
音楽:ジョニー・ウィリアムズ(ジョン・ウィリアムズ)
出演:オードリー・ヘプバーン
ピーター・オトゥール
イーライ・ウォラック
ヒュー・グリフィス
シャルル・ボワイエ
『おしゃれ泥棒』イントロダクション
フランスは花の都パリ。
この芸術の都の一角で絵画のオークションが行われていた。
目玉商品はセザンヌの絵、提供者は美術収集家として高名なシャルル・ボネ(ヒュー・グリフィス)。
競りが始まり、セザンヌの絵はとんでもない高値で落札された。
そのニュースを愛車のラジオで聞いたシャルル・ボネの娘、ニコル・ボネ(オードリー・ヘプバーン)は慌てて父のいる家に帰る。
ボネ家の屋敷の二階、ニコルはいとも当然のように父親の部屋のクローゼットを開けると、奥には秘密の通路があった。
そこを抜けていくと、屋敷の屋根裏部屋に通じており、そこではシャルルが油絵を描いていた。
そのほかに居並ぶ絵画群は、実はこうしてシャルルが描いた贋作だった。
シャルルは凄腕の贋作作家で、オークションで競り落とされたセザンヌの絵も、贋作だったのだ。
ニコルはそうした父の正体がばれて、いつか逮捕されてしまうのではないかと気が気でなかった。
何度ももう贋作はやめるように説得するが、父親のシャルルは気楽で聞く耳を持たない。
あるとき美術館が、シャルルの所蔵する「チェリーニのヴィーナス像」を借り受けて展示したいと申し出てくる。
このヴィーナス像はシャルルの父親の手による贋作だった。
美術館に展示されたヴィーナス像は大盛況。
おなじころ、シャルルのコレクションに疑いの目を向ける人物がいた。
美術商のベルナール・ド・ソルネ(シャルル・ボワイエ)だ。
ソルネは美術鑑定のエキスパートである探偵のサイモン・デルモット(ピーター・オトゥール)に調査を依頼する。
深夜、ボネ邸に忍び込んだデルモットは、ゴッホの絵画(贋作)からわずかに絵具を採取する・・・と、その物音に気が付いたニコルにデルモットは見つかってしまう。
デルモットはとっさに自分は泥棒だと嘘をつくが、ニコルはそれを信じる。
美術館に展示されたチェリーニのヴィーナス像が鑑定され、贋作だとばれることを心配していたニコルは、なんとデルモットにヴィーナス像を盗み出すように頼む。
奔放でキュートなニコルに一目ぼれしたデルモットは、その依頼に応えようと知恵を絞る・・・。
主演オードリー・ヘプバーン、監督ウィリアム・ワイラー、「ローマの休日」の名コンビによる傑作コメディ!『おしゃれ泥棒』
贋作画家の父親の悪事がばれないように奮闘する娘と、彼女に振り回される探偵を描く傑作コメディ。
主演オードリー・ヘプバーン、監督ウィリアム・ワイラーは『ローマの休日』(1953年)でも組んだ名コンビだ。
ウィリアム・ワイラーは他にも『ベン・ハー』(1959年)など、幅広い作風で知られる。
探偵でオードリー・ヘプバーンの相手役を務めるピーター・オトゥールは『アラビアのロレンス』(1962年)で有名な、シリアスもコメディもいける演技派俳優。
そしてオードリー・ヘプバーンはこのハリウッド黄金期にあって活躍、ファッション界でもアイコンとしてその存在は燦然と輝いた。
本作でもオードリー・ヘプバーンの魅力は存分に発揮されており、各シーンで次々に着替える衣装はどれも着こなしがステキ。
コメディのストーリーの中で生き生きと演技する彼女は実にキュート。
『ローマの休日』(1961年)、『シャレード』(1963年)、『マイ・フェア・レディ』(1964年)ほどの人気作、話題作ではないが、この『おしゃれ泥棒』もオードリー・ヘプバーンの代表作の一本に挙げたい。
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