『天国は待ってくれる』
1943年アメリカ
原題:Heaven Can Wait
監督:エルンスト・ルビッチ
脚本:サムソン・ラファエルソン
原作:レスリー・ブッシュ=フェキート『Birthday』
出演:ジーン・ティアニー
ドン・アメチー
チャールズ・コバーン
レアード・クリーガー
ルイス・カルハーン
スプリング・バイイントン
ユージン・ポーレット
マージョリー・メイン
アリン・ジョスリン
『天国は待ってくれる』イントロダクション
あるとき、ヘンリー・ヴァン・クリーヴ(ドン・アメチー)が地獄の受付に降りてきた。
彼はこの世での一生を終えるとすぐ、多くの人から「落ちろ」と言われた場所へ向かってきたのだった。
ヘンリーを迎えるのは“閣下”(レアード・クリーガー)と呼ばれる、びしっとスーツに身を包んだ紳士。
“閣下”はこの受付にきた人々を天国行きか地獄行きかを選別する役割を追っていたのだが、忙しい“閣下”はまだヘンリーについて選別ができてなかった。
ヘンリーは自分で死後の天国行きは無理だと自覚していた。
「さっさと裁きを下してください」
そういうヘンリーの生涯に興味を持った“閣下”は、ヘンリーから彼の人生の物語を聞くことにする。
ヘンリーはニューヨークの上流階級の家庭で甘やかされた一人っ子として育った。
青年になってからも仕事をすることなく、ヘンリーは有閑のプレイボーイとして成長する。
ある日、ヘンリーは街で公衆電話をかけようとして、隣で母親に電話をしている美女マーサ(ジーン・ティアニー)の声が耳に入る。
それは彼女が母親にウソをついているところだった。
興味を持ったヘンリーはマーサを尾行する。
マーサが書店に入ると、ヘンリーは店員のふりをして彼女に話しかけ、マーサが婚約者のために本を買おうとしていることを聞き出す。
婚約者がいるとわかっても、なおも言い寄るヘンリーであったが、結局マーサに逃げられてしまう。
やがて、ヘンリーの従兄弟アルバート(アリン・ジョスリン)が婚約者とその両親を紹介しにヴァン・クリーヴ家を訪問する。
そこに現れたアルバートの婚約者が、なんとマーサだった。
驚くヘンリーとマーサ。
ヘンリーはマーサを口説き落とし、アルバートを捨てさせ、駆け落ちする。
その駆け落ちの手助けしたのはヘンリーの祖父ヒューゴ(チャールズ・コバーン)だった・・・。
年老いて死んだ男が、自分は天国にふさわしい人生を送らなかったと回想するロマンチック・コメディーの傑作『天国は待ってくれる』
年老いて死んだ男が、地獄の入り口を前に、自分は天国にふさわしい人生を送らなかったと回想する、巨匠エルンスト・ルビッチ監督によるロマンチック・コメディーの傑作。
ルビッチ監督唯一のカラー作品。
レスリー・ブッシュ=フェキートの戯曲『Birthday』をサムソン・ラファエルソンが脚色し、音楽をアルフレッド・ニューマン、撮影をエドワード・クロンジェイガーが担当し、第16回アカデミー賞でカラー撮影賞、監督賞、および作品賞にノミネートされた(残念ながら受賞は逃した)。
ルビッチ監督ならではのソフィスティケイテッドな内容で、くすくすと笑いながらも、どこか切なさを感じさせる。
主人公ヘンリーは甘やかされてまくって育ったわりには行動派・情熱家で、教養も豊か、だがどこか一般的な価値観から踏み外したところがある。
その原因となるのが彼の祖父ヒューゴの老獪さなのも面白い。
ヒューゴ自体はよくものが見えているのに、孫のヘンリーには檄甘なのだ。
ヘンリーがマーサと駆け落ちして、ヒューゴがさっと退場する(作品内では描かれないが、死去する)あっさり感も良い。
そして浮気を止められないながらも、要所要所で心を入れ替えマーサへの愛を確認するヘンリーの描写も、しっかりと作品のオチへとつながっていく。
そしてようやく、タイトルへとつながるのだ。
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